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鉄道一筋 重責の証し

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「機関士」の腕章

畑 穰さん 84(丹波篠山市)

 旧国鉄からJRへ、定年退職するまで鉄道マン一筋。打音検査で使ったハンマー、路線ごとのカーブや勾配を記した線路図表など、35年の勤務の証しである品々が手元に残っています。

 その中でも最も思い出深く、そして大切にしているのが「機関士」と書かれた布製の腕章です。

 高校を卒業後、福知山機関区で「かまたき」と呼ばれる機関助士となり、蒸気機関車(SL)の運転席で来る日も来る日も石炭をくべました。

 灼熱しゃくねつの中、眠気と振動をこらえてショベルで重い石炭をすくってはボイラーに投入。汗で塩がふき、1回の乗車で1キロ痩せたそうです。そんな日々の中、機関士(運転士)の試験を受け、23歳で手にしたのがこの腕章です。

 「うれしかったですね。同時に、責任が全て、自分の肩にかかった思いがしました」

 山陰線や福知山線、舞鶴線……。線路図表をもとに、ブレーキを使い始める地点や減速する程度をいつも頭にたたき込んで乗り込みました。

 SLの動輪は雨で線路がぬれると空転しやすいのですが、合理化で1972年に廃線になった旧篠山線は線路脇の雑草で特に滑りやすく、慎重にブレーキをかけたことを昨日のことのように思い出します。

 検査係も務め、ハンマーなどを手に異音や亀裂がないかと耳と目を凝らしました。ディーゼル機関車にも乗り、沿線の電化にあわせて電車運転の講習を受け、後進の指導にもあたりました。

 「安全は最大の使命」。現役を退いて30年余りたった今でも、鉄道を利用する時には必ず先頭車両に乗って後輩の勤務を見守ると言います。

 お願いして、「菜っ葉服」と呼ばれた当時の仕事着に袖を通していただきました。そして腕章がはまると、柔和だった表情が急に引き締まって見えました。(中野真一)

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1996563 0 私の宝物 2021/04/20 05:00:00 2021/04/20 05:00:00 2021/04/20 05:00:00 「出発進行!」畑さんの指差確認の姿は堂に入ったもの(丹波篠山市で)=中野真一撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210419-OYTAI50009-T.jpg?type=thumbnail

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