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コロナ 聴覚障害者に壁

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マスクで表情読みにくく ■交流減り孤独感

 コロナ禍で耳の不自由な人たちが困難に直面している。マスクの着用が一般化され、相手の表情を読み取りにくくなったり、聴覚障害を持つ人同士の集う場が減ったりしているためだ。感染拡大の収束は見通しが立っておらず、手探りでコミュニケーションを試みる当事者らは「まずは現状の困難を知ってほしい」と話す。(松田卓也)

 「相手の言葉だけではなく、感情も分かりにくくなりました」

 先天性の聴覚障害がある山本紋子さんが訴える。県聴覚障害者協会の理事だ。

 聴覚障害者にとって、手話はコミュニケーションの一部に過ぎない。健常者が、声色や抑揚で言葉以外の相手の感情を理解するように、口元の動きや表情も重要な要素になる。マスクの着用で、こうした読み取りが難しくなったというのだ。

 中でも、苦労するのが買い物時だという。昨年7月にはレジ袋が有料化され、ただでさえ店員とのやり取りが増えた。

 山本さんは毎回、手話や身ぶりを交え、相手に聴覚障害があることを伝えるよう努めている。ただ相手の反応にはばらつきがある。中には、マスクを外したり筆談に応じてくれたりする店員もいるが、障害に気づかずにレジ袋をもらえなかったことも何度かあった。

 協会によると、聴覚障害者が直面する課題は、こうした日常の場面に限らない。

 「クラスター(感染集団)」や「3密」といった、なじみのなかった新しい言葉も、手話の表現として定着するまで一定の時間を要する。昨春には「緊急事態宣言」の意味が理解できず、街中に出てしまう障害者もいたという。

 障害者同士の集いの場が減っていることも課題だ。協会は昨年、感染拡大を受け、毎年6月に開く聴覚障害者の大会を中止することを決定。地域別の集会を取りやめるケースも相次いでいる。

 手話の言語体系には、日本語にはない独自の表現がある。メールでの日本語のやり取りでは十分に意思疎通を図ることができない恐れもあり、「孤独感を募らせる障害者は少なくない」と山本さん。

 「マスクを外してとお願いすることはできないが、『聞こえていないかも』と感じたら、筆談に応じるなどしてほしい」としている。

店舗や病院 支援の動き

 県内で聴覚障害者を支援する動きも広がっている。

 生活協同組合・コープこうべは昨年12月、兵庫、大阪両府県の全157店舗を対象に、精算時に文字や記号を指さししてやり取りできる「コミュニケーション支援ボード」を導入した。

 医療機関でのサービスもある。通院が必要な聴覚障害者は通常、自治体が紹介する「手話通訳士」に帯同してもらう。ところがコロナ禍で、帯同による接触が双方の感染リスクになり得るという課題がでてきた。

 こうした問題を解消しようと、県内の自治体では、病院に持ち込んだタブレット端末を使い、医師らとのやり取りをオンラインで手話通訳してくれる取り組みを始めている。

 また、県も新型コロナの健康相談コールセンターに手話通訳サービスを取り入れている。担当者は「色々なサービスがあるので、相談や受診をためらわないで」と呼びかけている。

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