淡路の藍染色家 大河ドラマ指導
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根岸さん×「青天を衝け」…天然染料 当時を再現
実業家、渋沢栄一の生涯を描くNHK大河ドラマ「青天を



「日本資本主義の父」と言われる渋沢は、現在の埼玉県深谷市生まれ。すくも(藍玉)を作って販売したり、養蚕業を手伝ったりしながら商いの基礎を学び、銀行や紡績、海運業など様々な業種を生み出した。2024年度に発行される新1万円札の顔としても注目されている。
撮影は昨夏に始まり、横浜市や群馬、茨城両県で藍の刈り取りや染めのシーンが撮られた。撮影では、根岸さんの工房で作られた染料が使われている。
天然の染料は微生物の影響を計算しなければならない。渋沢の父・市郎右衛門役の小林薫さんには「藍は生き物です」と伝え、その意図をくみ取った小林さんの演技は「50年以上携わる職人に見えた」という。
ドラマの制作スタッフは当初、関東圏で技術指導ができる職人を探したが、化学染料を使っている染色家が多く、難航。栃木県の藍栽培農家から紹介され、根岸さんが引き受けた。
日本特産農産物協会(東京)によると、藍の生産者は高齢化が進み、近年は化学染料が主流になっている。2018年は10道県の計2456・6アールで栽培され、収穫は約68万キロ。ともに前年より減少した。
根岸さんが藍染めを始めたのも、30歳代になってからだ。それまでは大阪で洋服のリフォームに携わっていた。
淡路市に移住した13年に藍染めを体験し、半年間、徳島県の染料会社に通って技術を習得。現在は妻、絵理さん(36)と工房「AWAJI 藍 LAND project」を営み、洋服やアクセサリー、サンダルなどを販売する。
根岸さんには、藍を淡路島の地場産業にするという夢があり、「ドラマを見た人に、日本で脈々と受け継がれてきた染色技術を知ってほしい」と話している。