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<東日本大震災10年>支援の若者に やっとお礼

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陸前高田・山口さん → 元神大生

 みなさんのおかげで生きる気力がわきました――。東日本大震災で自宅を失った岩手県陸前高田市の男性が2月末、ボランティアの若者らに5年ぶりの感謝の思いを伝えた。若者らは、2016年に仮設住宅を訪れた当時の神戸大生。男性がお礼にと準備したボトルシップを渡せず、困っていると伝えた読売新聞の記事がきっかけになり、オンライン上の再会が実現した。(高木文一)

本紙記事きっかけ/5年ぶりオンライン再会

神戸大生を探す山口さんの思いを伝える昨年3月11日の読売新聞記事(地域版)
神戸大生を探す山口さんの思いを伝える昨年3月11日の読売新聞記事(地域版)
学生の名前を刻んだお手製のボトルシップをカメラに近づける山口さん(岩手県陸前高田市で)
学生の名前を刻んだお手製のボトルシップをカメラに近づける山口さん(岩手県陸前高田市で)

 ■「励ましのおかげ」

 「みなさんの励ましのおかげです。ありがとう」

 2月28日夕、陸前高田市の高台に立つ一軒家。男性の山口蔦吉さん(92)が、モニター画面に映った3人に語りかけた。

 3人は東京都渋谷区の銀行員、田仁たに温子さん(27)、尼崎市在住の公務員、出田いずた千紗さん(28)、川崎市の会社員、阪田直樹さん(24)。5年前、山口さんが暮らす仮設住宅を慰問した学生(当時)だ。

 ひ孫ほど年の離れた3人が近況を報告すると「みんな立派な社会人になったんだね」と破顔。大切に保管していたボトルシップを画面越しに披露した。

 ■ボトルシップの縁

 4人の再会は、学生らを探している山口さんを紹介した昨年3月11日の読売新聞記事がきっかけだった。

 山口さんは震災で親戚が犠牲になり、11年5月から仮設住宅に妻・京子さん(87)と入居した。学生らが訪れた16年1月も心の傷が癒えることもなく、ふさぎ込んだままだった。

 山口さんにとって「阪神大震災の被災地から来てくれたこと」が心の支えになったという。「今度来てくれたときに渡そう」と、趣味のボトルシップを13人分用意したが、学生らはそれ以来、姿を見せなかった。

 「住所が分かれば、郵送もできる。また会えれば、もっとうれしい」

 読売新聞に連絡があったのは、山口さんの思いを伝えた記事を掲載した数日後。当時、神戸大ボランティア支援室で学生らの慰問先を調整した藤室玲治さん(46)からだった。

 ■13人の笑顔

 藤室さんは、連絡がついた数人だけで訪問しようとも考えたが、コロナ禍で計画は難航。藤室さんが一人で訪れ、オンラインでつなぐことにした。

 5年前の交流会はたった1日。山口さんも約30人が参加した地域住民の一人に過ぎず、会自体も「何ともないやりとり」だった。それでも自分を勇気づけようと振る舞う13人の姿に、山口さんははっとした。

 「若い人と話すと自然とこちらも笑顔になれてね。ぐずぐずしてちゃダメだと思えるようになったんだ」

 この日、画面の向こうから「訪問時にうれしかったことは」と尋ねられ、そう明かした山口さん。「コロナがなければ、日本各地を旅したかった」とも語り、3人の目を丸くさせた。

 再会後、山口さんは「ようやくお礼が言えました」と語り、「当時を思い出し、私も優しい気持ちがこみ上げてきた」と田仁さん。4人は「ボランティアがつないだ縁をこれからも大切にしたい」とうなずきあった。

 山口さんは順次、ボトルシップを送るつもりだ。

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1899359 0 ニュース 2021/03/10 05:00:00 2021/03/10 11:07:54 2021/03/10 11:07:54 複写 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210310-OYTNI50006-T.jpg?type=thumbnail

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