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困難抱える人に居場所

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須磨・失語症リハビリ施設

 失語症の患者らのリハビリ支援に取り組む一般社団法人「ことばの道」(神戸市須磨区)が、患者の就労や子どもの発達支援などを幅広く手がける施設をオープンした。障害の悩みを抱える人々の居場所作りを目指す。代表の安居道子さん(58)は「みんなの笑顔があふれる場所にしたい」と話す。(山本貴広)

就労支援、デイサービスも

 ことばの道は2008年、失語症のリハビリ施設として開設した。当初は言語聴覚士の資格を持つ3人が支援にあたり、今では作業療法士や保育士ら約30人の職員が所属。未就学児から90歳代までの約120人が利用している。

 患者の多くは脳機能に影響が出ており、言葉だけではなく、手足が動かしにくくなる不自由さがあり、就労も難しい。このため、手を動かすリハビリを兼ね、コーヒー豆の販売に取り組んでもらうことにした。

 利用者は、施設が仕入れたコーヒー豆を選別したり、ラッピングしたりする。コーヒー豆はコロンビア産とブラジル産の2種類で、100グラム500円から。収入の一部を利用者に還元し、利用者らのやりがい作りにつながっているという。

 コーヒー豆の販売と同時に、障害のある子どもらを放課後や休校日に受け入れる放課後等デイサービスも始めた。「困った人たちの居場所を作ってあげたい」。そう話す安居さんの原点には、20年以上前、保育士として勤務していた児童養護施設での経験がある。

 その施設では、夜になると、壁を強くたたいたり、自傷行為をしたりする子どもたちがいた。浮かび上がるのは、親から受けた虐待などの複雑な家庭の事情。小さな胸では受け止めきれない深い寂しさに直面し、居場所作りが福祉に欠かせない視点だと痛感した。

 「居場所がなく、誰にも相談できない。そんな困難に直面する人たちと一緒に歩むことが福祉のあるべき姿だと思う」と安居さん。今後は思いを共有してもらえるよう地域にも協力を求めるといい、「いずれは地域コミュニティーの核になるような場所にしたい」と意気込んでいる。

<失語症> 脳卒中や事故などで脳が傷つき、言葉を聞いたり、話したりする行為が難しくなる障害。患者数は全国で約50万人と推定されている。

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