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賃貸居住支援 機能せず…県内の紹介実績1件

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国の登録要件厳しく物件不足

 一人暮らしの高齢者や低所得者らの入居を拒まない賃貸住宅を紹介する国の「住宅セーフティネット制度」の利用が、県内で低迷している。物件を紹介する県内の各法人によると、2017年10月の制度開始から今年1月までの3年余りで、実績はわずか1件。登録要件が厳しく、紹介可能な物件が少ないことが理由とみられる。(石見江莉加)

困窮者向け

 単身高齢者や低所得者、外国人らは、家賃滞納を不安視する不動産会社や家主に入居を拒まれる事例が少なくない。

 国はこうした人が住宅を借りやすくなるよう、入居を断らない民間の賃貸物件をあらかじめ登録し、都道府県が指定する居住支援法人などが困窮者に物件の情報を提供する制度を開始。登録された住宅の家主には、国と自治体が改修費を最大200万円補助する。

 経済的な配慮が必要な人への支援に加え、少子高齢化で増えつつある空き家対策も同時に進められる「切り札」として期待される一方、県内では紹介に結びついていないのが現状だ。

 読売新聞が今年2月までに県内14(現在は18)の居住支援法人に実施したアンケートでは、制度開始以降、セーフティネット住宅の登録物件が紹介されたのは1件だけだった。しかも、家賃が比較的高額な高齢者の見守りサービス付きの物件だったといい、紹介した法人の担当者は「相談者に経済的余裕がある特殊な事例だった」と振り返る。

絵に描いた餅

 国が設けた賃貸住宅の厳格な登録要件と、紹介可能な空室のある物件の少なさが低調な理由とみられ、居住支援法人からは不満の声も上がっている。

 登録には「耐震性を有する」「床面積が25平方メートル以上」「台所、浴室、トイレがある」など細かい基準を満たす必要があるが、こうした物件は需要が多い。そのため、県内で登録されている約2万6000戸に対し、空室となっているのは555戸(6月7日時点)と少なく、人口約150万人の神戸市でも92戸にとどまる。

 さらに、神戸市内で案内できる登録物件の大半は月4万円を超えている。ホームレスらを支援するNPO法人「神戸の冬を支える会」(神戸市中央区)によると、相談者の多くは生活保護受給者だが、市の受給規定では住宅扶助の上限が「単身世帯で家賃が月4万円まで」とされている。

 青木茂幸事務局長は「国が想定している要配慮者よりも経済的に厳しい人に物件が紹介できず、制度が『絵に描いた餅』になっているのではないか」と指摘している。

法人頼み

 こうした事情から、居住支援法人はセーフティネット住宅以外の物件から、相談者の実態に見合った居室を見つけ、家主らと交渉して紹介するケースが多いという。

 セーフティネット住宅は、新型コロナウイルス禍で雇用が不安定な人の支援策としても期待されている。中京大の岡本祥浩教授(居住福祉)は「居住支援法人に頼り切るのではなく、家主の協力や行政の支援も得て、本当に住宅が必要な困窮者を支える体制を作る必要がある」と話している。

          ◇

住宅セーフティネット制度 高齢者らの入居を拒まない物件を登録する国の制度。現在、全国で約44万戸が登録され、うち約1万7000戸が空室となっている。登録物件は専用サイト「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索できる。

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2108982 0 ニュース 2021/06/08 05:00:00 2021/06/08 05:00:00 2021/06/08 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210608-OYTNI50004-T.jpg?type=thumbnail

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