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コロナ禍 2年ぶり、神戸などで
親を亡くした子どもらの進学を支援する「あしなが育英会」の奨学生らが、新型コロナウイルスの影響で休止していた街頭募金「あしなが学生募金」の活動を2年ぶりに神戸市内などで再開した。感染拡大により、経済的に困窮する世帯が増え、同育英会の奨学金希望者は増加しているといい、募金活動に参加した大学生遺児らは「奨学金が途切れないよう、協力をお願いします」と呼びかけている。(松山春香)
遺児の進学「協力を」

「力を貸してください」「ひとりでも多くの遺児が進学できるよう、協力を」
同育英会の奨学金を受けている大学生ら約10人が12日、神戸市中央区のJR元町駅前の広場で、募金箱を手に、通行人らに声をかけた。善意が寄せられると、大学生らは「ありがとうございます」と感謝を伝えていた。
県内で同育英会の奨学金を受けている高校生以上の学生は今年11月現在、529人で過去最多。しかし、コロナ禍で2019年10月を最後に街頭募金活動は休止を余儀なくされ、今年の同育英会への寄付は11月末時点で28億4000万円と、昨年同期から38・5%減少した。
遺児家庭の現状を把握するため、同育英会は10~11月、全国の高校奨学生の保護者3994人を対象にアンケートを実施。2647人から回答があった。
県内では137人から回答があり、「収入がない」と答えた人の割合は31・8%で、コロナ禍前の18年と比べて14・2ポイント増加した。平均手取り月収は10万5788円と18年から1万2000円減。15・5%の保護者がコロナ禍で転職や離職に追い込まれていた。
アンケートには、「訪問介護職だが、コロナの影響で在宅ワークが増えてヘルパーが必要なくなり、収入が減った」「飲食業だが、以前のように売り上げが戻らず、厳しい」などの声も寄せられた。これらの声を受け、奨学生らが今回、募金活動再開を決めたという。
元町駅前での募金活動に参加した甲南大3年の宮崎桃花さん(21)(神戸市東灘区)は、がんで父親を亡くし、高校生の時から奨学金を受けている。「困窮家庭が増える中、直接自分たちの声が届かない状況が続き、奨学金がなくなってしまうのではないかと不安だった。理解と寄付に協力してほしい」と話していた。
寄付の問い合わせは、あしなが育英会(0120・916・602)へ。