被害者支援 特化条例急ぐ

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県 今年度中目標 無差別事件、ネット中傷増

 全国の都道府県で犯罪被害者支援に特化した条例(特化条例)の制定が相次ぐ中、斎藤知事は、今年度中に条例制定を目指す考えを明らかにした。不特定多数の人が巻き込まれる事件やSNSで 誹謗ひぼう 中傷される「二次被害」が増えているためといい、切れ目のない、きめ細かな支援にどう結びつけるのか議論が注目される。(加藤あかね)

 警察庁によると、2021年4月1日現在、32都道府県が犯罪被害者等基本法に基づく特化条例を定めている。読売新聞の取材では、さらに福島、愛知、広島など7県が条例をつくり、39都道府県に広がった。

 先進的な取り組みを進めているのが東京都。被害者の精神的な負担を軽減するため、支援窓口を一本化して対応したり、日常生活を取り戻すための見舞金や転居費を支給したりしている。死傷者多数の事案に対する緊急支援を実施し、都民以外の被害者支援も行う。インターネット上の誹謗中傷など二次被害の防止を巡っては、広島県が弁護士費用を支給する制度を設けた。県によると、都道府県で初めてという。

 現在、特化条例がない8府県では、兵庫に加えて山梨、愛媛、沖縄3県が今年度中の制定を目指す方針で、京都府は条例制定に向けて検討することを明らかにしている。

 兵庫県はこれまで、別の条例に被害者支援を規定して対応。自治体職員らが窓口で被害者らを傷つけないよう言葉遣いの注意事項などをまとめたマニュアルを作成したり、遺族を講師に招いた市町職員との勉強会を開いたりしてきた。

 全国的な動きを踏まえ、斎藤知事は4月27日の定例記者会見で、今年度中に特化条例の制定を目指す意向を表明。「県内41市町で条例が制定されていることを踏まえ、県には広域的な施策の役割が求められている。ネットにおける誹謗中傷などを防ぐためにも、県としてサポート体制を作っていく」と意欲をみせた。

 県は、犯罪被害者や支援団体、専門家らで構成する検討会の設立準備を進めており、6月中にも本格的な協議に入る方針だ。

 犯罪被害者やその家族らでつくる「犯罪被害者の会」(つなぐ会)(事務局・西宮市)は今年3月、県に特化条例制定を求めるシンポジウムを開催。同会代表の寺田真治さん(64)は「当事者は本当に思いもよらない所で被害に遭い、苦労をしている。誰でも犯罪被害者になる可能性がある。少しでも被害が緩和できるような条例にしてほしい」と話している。

<犯罪被害者等基本法>  2005年に施行し、犯罪被害者支援を国や自治体の責務と定めた。被害者の遺族らが支援窓口の設置や見舞金給付を全国各地の自治体に求めたことなども踏まえて、警察庁は16年度から条例制定を促す取り組みを始めた。京都アニメーション放火殺人事件(2019年7月)や大阪・北新地放火殺人事件(21年12月)の発生などが影響し、この数年で条例化が加速している。

県内 年3万4000人対象 市町 広域的制度に期待

 県内では、今年4月1日に高砂市で特化条例が施行され、全41市町で制定が実現した。明石市はきめ細かで迅速な支援が必要だとして、見舞金支給のほか、加害者から賠償金が支払われない場合の立て替え(上限300万円)、ヘルパー派遣費用の助成、家賃補助などの事業を展開する。

 ただ市町の条例は支援対象が住民に限られ、内容も自治体によってばらつきがある。ある市の担当者は「被害者の遺族が市外の住民だと見舞金は給付できない。職員は被害者支援の経験を積む必要がある。一自治体で担うには、人的にも財源的にも負担が大きい」とし、県の条例化による広域的な対応を期待している。

 諸沢英道・元常磐大学長(被害者学)の試算によると、犯罪被害者で支援を必要とする人は、日本全体で年間60万人、兵庫県では年約3万4000人に上るという。諸沢氏は「生活を取り戻せない人をどう支援するのか。事件が起きた自治体と、被害者が住んでいる自治体が、速やかにつながる制度が必要だ。学校教育の中で、子どもたちに被害者のことを理解させる取り組みも大切だ」と指摘した。

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