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市経緯説明 市長「業務委託検証」

尼崎市全市民約46万人分の個人情報が入ったUSBメモリーを委託業者が一時紛失した問題で、市議会は27日、会派代表者会を開いて市側から経緯説明などを受けた。市民の情報漏えいに対する不安解消や再発防止策の徹底などを強く要望し、稲村和美市長は「市民の信頼回復に全力を尽くす」と約束した。(加藤あかね、礒永博)
議会側の求めに応じて市側が出席し、市民の個人情報が入ったUSBが無断で持ち出されて紛失に至った経緯などを説明した。
議員からは「市民の不安解消への取り組みは」「尼崎がイメージダウンした。損害賠償も考えているのか」「業務委託のあり方を考えるべきだ。市職員の(情報管理の)体制づくりや人材育成が必要では」など、事態の重大性を受けた意見や質問が相次いだ。
稲村市長は、この問題に便乗した特殊詐欺事件の警戒を市民に呼びかけるとともに、現在、市民からの苦情や相談を受け付けている専用ダイヤルをしばらく継続して設置する考えを説明した。
業者に対する損害賠償請求については「第三者委員会の意見なども踏まえながら検討する」と述べ、業務委託のあり方の検証や庁内の危機管理部門の強化について専門家と連携して推進する考えを明らかにした。
最後に、前迫直美議長が「市民の命と財産、生活を脅かす重大な事件だ」などと指摘した上で、▽原因究明と検証で市民への丁寧な説明責任を▽デジタル・情報専門員の設置と人材育成を早急に――など3項目の申し入れ書を稲村市長に手渡した。
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USBの一時紛失を巡っては、市の委託業者が業務の一部を無断で別の会社に再委託した問題も判明した。議会後、稲村市長は報道各社の取材に「非常に大きな問題だ。市として把握していなかった。業者には事前の手続きを求めているのだから、しっかりとしてほしかった」と述べた。