徳川治保の世直し紹介 高校教諭が刊行

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「評価のきっかけに」

著書で水戸6代藩主徳川治保の藩政と時代を紹介した石島久男さん(水戸市で)
著書で水戸6代藩主徳川治保の藩政と時代を紹介した石島久男さん(水戸市で)

 水戸藩の名君は2代徳川光圀、9代斉昭ばかりでないと、水戸市の高校教諭石島久男さん(63)が、「水戸中納言・六代藩主 徳川治保はるもりの世直し 水戸藩と天明の飢饉ききん」をろん書房出版(千葉県流山市)から刊行した。自宅に代々伝えられてきた古文書を解読するなどして研究。領民に学んで藩政改革に努めたことなど、水戸藩中興の祖とも言える治保の横顔を浮かび上がらせた。

 治保は江戸時代の1751年に生まれ、66年に水戸藩主となり、1805年に没した。その間、天明の飢饉などにより藩内の農村は荒廃。幕政では、老中の田沼意次が重商政策を推し進め、賄賂が横行するなど幕藩体制は揺らぎ始めていた。

 同書では、そんなさなかの治保による政治を、水戸藩のこおり奉行・石川儀兵衛が記した藩政史料「水戸紀年」から読み解いた。領民がどう受け止めていたかについては、村の管理運営にあたった村役人の祖先が書き残し、石島さんの家に代々伝わっていた古文書「源次衛門文書」から考察。藩主―郡奉行―村方といった治める側、治められる側の双方に注目しながら治保の業績を明らかにした。

 見えてきたのは、藩のひえ倉を開いて領民の飢えを救ったり、子の間引きを藩主にもかかわらず「なにとぞ」と丁寧な言葉を使って戒め、育児支援に力を入れたりしていた善政。水戸城下にあった郡奉行所を各管内の農村に置き、実情を把握しやすくもした。文教政策にも力を入れ、農民出身の地理学者・長久保赤水を始め、武士以外から幅広く人材を登用。文化的風土が培われ、後の水戸学の隆盛につながったという。

 幕政では、御三家で連携し、田沼意次の失脚と、老中松平定信による寛政の改革実現に貢献している。

 石島さんが代々伝わる古文書を読み始めたのは20年ほど前からという。研究、考察を進めて出版にこぎ着け、「治保とその時代を記した著書はあまり多くなく、まとめ上げるのは冒険だったが、この時代への関心が深まり、治保への正当な評価が広がるきっかけになれば」と話している。

 同書は四六判、184ページ、1500円(税別)。問い合わせは崙書房出版(04・7158・0035)。

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583039 0 ニュース 2019/05/15 05:00:00 2019/05/15 05:00:00 2019/05/15 05:00:00 著書で水戸6代藩主徳川治保の藩政と時代を紹介した石島久男さん(水戸市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190514-OYTNI50038-T.jpg?type=thumbnail

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