土浦の戦争60人の記憶 証言集を刊行 

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語れる人高齢で危機感 「平和考える一冊に」土浦市立博物館

「土浦の人と暮らしの戦中・戦後」をまとめた土浦市立博物館の担当学芸員野田礼子さん
「土浦の人と暮らしの戦中・戦後」をまとめた土浦市立博物館の担当学芸員野田礼子さん

 土浦市立博物館が戦争体験者らの証言集「土浦の人と暮らしの戦中・戦後」を刊行した。「悲惨な戦争の記録を後世に伝えるための最後の機会」と、戦後70年の2015年度から3年かけ、野田礼子学芸員らが直接話を聞くなどして存命者約60人の記憶をまとめた労作だ。

■完成前に100歳で死去

 証言集はA4判227ページのボリュームで、県内56人(うち土浦市内51人)、県外6人分が集録されている。巻頭を飾ったのは土浦海軍航空隊に海軍予備学生として入隊した奈良市の直木孝次郎さんだ。同館が聞き取り調査を行った2016年3月時点で97歳で、集録した存命者の中で最高齢だった。証言集の完成を目にすることなく、今年2月に100歳で亡くなった。

 取材では奈良市の直木さんの自宅に赴いた。耳が遠く、補聴器を使いたがらない直木さんの話を同席した妻を介して数時間にわたって聞き取った。直木さんは自身で書いた体験談も寄せてくれたといい、「出版はいつ頃なのか」と楽しみにしていた。「間に合わなかった」と野田学芸員は悔やむ。

■体験談集めに奔走

 証言集作りは、戦後70年の節目に「当時の記憶をしっかり語れる人は既に90歳を超えている」との危機感を抱いたのがきっかけ。「遅いかもしれないが、まだ話を聞けるはず」。公民館など市の施設にアンケート用紙を配って体験談を書いてもらったり、「書くのは得意でない」という人には話を聞きに行ったりした。

 旅館を営んでいた父親が学童疎開を受け入れるため、旅館業を廃業し、泣く泣く従業員にやめてもらった話など様々な実体験がある。調査を進めるうちに「自分より詳しく話せる人がいる」と紹介されたり、母親から聞いた話を息子が文章にして寄せてくれたりして体験談は増えた。耳の遠いお年寄りの取材に同席してくれた民生委員もいた。

 つらい戦争体験をよどみなく語れる人は少なく、長い人生の中では戦後の暮らしの方が大きなウェートを占める。野田さんは容易ではなかった聞き取り調査を振り返り、こう話す。「歴史の一ページを語ってもらうことがいかに大変か痛感した。この証言集が戦争と平和を考える一冊になればうれしい」。税込み1600円。問い合わせは同館(029・824・2928)。

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588571 0 ニュース 2019/05/18 05:00:00 2019/05/18 05:00:00 2019/05/18 05:00:00 「土浦の人と暮らしの戦中・戦後」の内容を説明する土浦市立博物館の担当学芸員野田礼子さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190517-OYTNI50022-T.jpg?type=thumbnail

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