(下)広げる 新分野へ 可能性追求

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 ◇ハンドルに活用

 11月23、24日に盛岡市のアイーナで開かれた漆文化のPRイベント「漆DAYSデイズいわて」。会場には、滴生舎(二戸市)や安比塗漆器工房(八幡平市)など16の工房や企業などが手がけた商品が並んだ。器や皿、箸など伝統的なものに加え、漆塗りのスマートフォンケースや釣り竿ざお、ルアーなど珍しいものもある。来場者は「これも漆を使っているんですか」と目を丸くし、手に取って質感を確かめる。

 その中で、ひときわ注目を集めるブースがあった。中央にユーモラスな象を配し、グリップの部分に模様をあしらった自動車用のハンドル。漆で描いた絵に金や銀の粉をまいた蒔絵まきえや、ヤコウガイの貝殻などを貼った螺鈿らでんの技法を駆使し、江戸時代の画家・伊藤若冲の作品「鳥獣花木図屏風びょうぶ」を表現した。

 漆塗りのハンドルは東京モーターショーなどにも出品し、評判となった。開発した浄法寺漆産業の松沢卓生社長(46)は「漆は漆器のイメージが強いが、今まで使われていなかった分野でも活用できる」と力を込める。

 県職員だった松沢さんは、かつて二戸地方振興局林務部(現二戸農林振興センター)で地元の浄法寺漆のブランド化などに取り組んでいた。二戸市は日本一の漆生産地。だが製品をPRし、販売につなげる人がいなかった。「行政主体では漆産業は成長しない。民間でプロデュースする必要がある」と2009年に県庁を退職し、起業した。

 最初に開発したチューブ入りの漆は使いやすいと海外からも注文があり、11年度にグッドデザイン賞を受賞。さらに盛岡市の筆記具店などと漆塗り高級ボールペン「japenジャペン」を作るなど漆製品の可能性を追求してきた。

 松沢さんは漆の増産にも取り組む。「次の世代に漆文化を残していきたい」と漆産業の活性化へ向け、挑戦は続く。

自身が手がけた漆器や箸などを販売する青柳さん(右)。フランスではスプーンが人気だった(11月23日、盛岡市の「漆DAYSいわて」で)
自身が手がけた漆器や箸などを販売する青柳さん(右)。フランスではスプーンが人気だった(11月23日、盛岡市の「漆DAYSいわて」で)

 ◇フランスで人気 

 一関市大東町摺沢の秀衡塗工房「丸三漆器」の塗り師、青柳匠郎たくおさん(33)は11月、フランスに出張した。コルマール市で開かれた「国際旅行博」で自慢の商品を販売するためだった。

 海外でも漆製品の良さが知られるようになった。渡仏前、「木目が見える漆器の人気が高い」と聞き、乗り込んだが、売り上げは振るわなかった。だが収穫もあった。スプーンが飛ぶように売れたのだ。

 現地の人々は「丈夫で軽い」「口当たりがよさそう」と評価してくれた。「フランスには漆器や箸を使う文化がない。だがスプーンなら日常的に使われている」。青柳さんは商機を感じた。

 フランスにはカフェオレをボウルで飲む文化がある。青柳さんは「その土地の文化に合わせた漆製品を作ればいい。新しい使い方を提案できれば、漆の素晴らしさをもっと知ってもらえる」と声を弾ませる。その視線は、大空の先へと向いている。(斉藤新が担当しました)

無断転載禁止
54648 0 うるわしの人々 2018/12/09 05:00:00 2018/12/09 05:00:00 「漆DAYSいわて」で丸三漆器のブースに集まる来場者たち(23日午後2時51分、盛岡市のアイーナで)=斉藤新撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181217-OYTAI50017-T.jpg?type=thumbnail

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