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(1)復興のレール/文具店再建 開通心待ち

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風車をデザインした陸中山田駅の前に立つ松本さん。「開通は復興の後押しになる」と期待を込める(12月19日、山田町で)
風車をデザインした陸中山田駅の前に立つ松本さん。「開通は復興の後押しになる」と期待を込める(12月19日、山田町で)
三陸鉄道開業時の小本駅。約1200人が下り一番列車の到着を喜んだ(1984年4月1日撮影、岩泉町小本で)
三陸鉄道開業時の小本駅。約1200人が下り一番列車の到着を喜んだ(1984年4月1日撮影、岩泉町小本で)

 三陸鉄道が3月23日、国内最長の第3セクター鉄道として生まれ変わる。東日本大震災で休止したJR山田線宮古―釜石駅間が移管されて南北リアス線とつながり、総延長163キロの「リアス線」になる。駅舎や線路が被災しながら、すぐに一部で運行を再開して被災地を励ました「復興のシンボル」。人口減少や道路網整備など経営環境が厳しさを増す中、様々な思いを乗せて沿岸部を走る。

 「街に汽車が帰ってきます!」。JRからの移管区間にある陸中山田駅(山田町)近くで文房具店を営む松本龍児さん(66)は昨年12月16日、駅前で仲間たちとチラシ約200枚を配り、リアス線開通をPRした。

 駅舎は津波と火災で全壊。松本さんは駅近くの自宅兼店舗を失い、プレハブ倉庫や空き店舗で営業を続けた。その年の秋、山田線の早期復旧を求める町民の会を作り、会長になった。JRは赤字路線の復旧に消極的で、「このままでは廃線になってしまう」という危機感があった。

 八幡平市出身の松本さんは高校卒業後に東京で暮らし、山田町出身の妻(66)との結婚を機に、1978年に移り住んだ。駅近くに店を開いたのは3年後。町民と列車の旅を楽しみ、東京の見本市に行く時や実家に帰省する時も鉄路を使った。「安全で便利。当時は列車が当たり前だった」。山田線の復旧と三鉄への移管が決まると、沿線4市町の住民と「地方ローカル線を守る市町民の会」を作り、利用促進策を探っている。

 新駅舎は、江戸時代に山田湾の島にオランダ船が漂着した歴史にちなみ、風車を模した外観だ。町は駅東側を中心市街地と位置付け、スーパーや金融機関、商店街を集めた。松本さんも2017年11月、商店街に自宅兼店舗を再建した。

 復興工事が終われば建設業者は町を離れ、事務用品の注文も減るだろう。店や地域の将来が気がかりだ。「列車で来た買い物客に特典を与えるなど、三鉄と地域の双方に利益がある企画が必要」と構想を練る。以前より幅広い世代が訪れる店にして、地元の人が使いやすい商店街にしたいと願う。

 「三鉄は沿岸の重要な社会資本。地域で盛り上げなければならない」。三鉄開通の翌年、1985年に岩泉町小本で発足した「三陸鉄道小本友の会」の会長を務めてきた三浦忠一さん(82)は力を込める。

 ◇陸の孤島に夢と期待

 明治時代からの悲願だった鉄道が通った84年4月1日、小本駅では住民が旗を振って北リアス線の一番列車を迎えた。「陸の孤島がどれだけ発展するか、夢と期待は大きかった」。会は駅の美化に努め、列車旅を楽しんだ。

 しばらくは観光客でにぎわった小本駅も、次第に利用が低迷する。「花壇に花を飾り、駅前でイベントを開いたが、時代の流れには勝てなかった」。2011年3月には震災が起き、各地で線路が流されて全線不通になった。三浦さんは自宅も失い、「三鉄はもうだめだ」と落ち込んだ。

 しかし、5日後から一部で運行が再開し、小本駅にも3月29日、列車が到着した。「うれしかった。三鉄が住民を励ましてくれた」

 駅舎は15年12月、役場支所や診療所、避難場所などの機能を持つ津波防災センターと一体になり、名称も岩泉小本駅に変わった。役目を終えた友の会は17年に解散したが、三浦さんは三鉄を盛り上げ続けるつもりだ。「レールは復興につながっている」と信じて。(五島彰人、安田英樹)

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使い方
56728 0 つながる三陸鉄道 2019/01/01 05:00:00 2019/01/01 05:00:00 風車の姿で再建された陸中山田駅前に立つ松本さん。「開通は復興の後押しになる」と期待している(19日午前11時47分、山田町川向町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181231-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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