(2)新区間でも使命継ぐ 震災学習列車

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 三陸鉄道は、東日本大震災の被災状況や復興の現状を伝え、防災について考えてもらう「震災学習列車」を南北リアス線で運行している。JR東日本から移管される宮古―釜石駅間でも実施予定で、社員たちはその準備に追われている。原動力は、被災地を走る鉄道会社としての使命感だ。

震災学習列車で熊谷さん(中央奥)の説明を聞く台湾からの参加者(12月3日、大船渡市で)
震災学習列車で熊谷さん(中央奥)の説明を聞く台湾からの参加者(12月3日、大船渡市で)

 「今より低い防潮堤を越えて津波が押し寄せ、多くの方が亡くなりました」。昨年12月3日、南リアス線三陸駅(大船渡市)に停車した震災学習列車の車内で、ガイドの釜石駅兼盛駅主任、熊谷松一さん(55)が窓の外を指さしながら説明した。

 乗客は、被災地に義援金を送る活動をしてきた台湾の慈善団体の男女21人。説明を聞き、当時の状況を想像しながら黙とうした。王金爵さん(67)は「実際に被災地を見て感慨深い。台湾では原発事故の風評もあるが、学んだことをきちんと伝えたい」と話した。

 震災学習列車は2012年6月に北リアス線久慈―田野畑駅間、13年6月に南リアス線盛―吉浜駅間で始まった。貸し切り列車にガイド役の社員や住民が乗り込み、被災状況が分かる場所で徐行や停車を繰り返しながら約1時間走る。昨年12月末までの利用者は1179団体、5万3915人。今年度はすでに昨年度の人数を上回っており、復興の進み具合を確認したいリピーターが増えているとみられる。

 ◇社員向け勉強会

 三鉄では現在、新たに宮古―釜石駅間で運行する震災学習列車のガイドを養成するため、社員向けの勉強会を重ねている。

防潮堤の上で県職員(手前)の説明を聞く三陸鉄道の社員ら(12月6日、釜石市で)
防潮堤の上で県職員(手前)の説明を聞く三陸鉄道の社員ら(12月6日、釜石市で)

 釜石市鵜住居地区で昨年12月6日に行われた3回目の勉強会には社員11人が参加。建設中の防潮堤の上で県職員の説明を聞き、市の推計で162人が死亡・行方不明になった鵜住居地区防災センターの跡地や、9月に開幕するラグビーワールドカップの試合会場となる釜石鵜住居復興スタジアムを眺めた。

 別の日には、被災当時の姿が残る大槌町の旧役場庁舎や、防潮堤を越えた津波が集落に大きな被害を与えた山田町船越地区も見学した。参加者の一人で、北リアス線のガイドを務める旅客営業課長、二橋守さん(55)は「津波の悲惨さだけでなく、釜石市では日頃の防災教育で多くの小中学生が避難して助かったことなども伝えるプログラムにしたい」と話した。

 ◇自省の思い込め

 南リアス線でガイドを務める熊谷さんはあの日、久慈市への出張から戻る途中だった。車で宮古市内を走行中に大きな揺れを感じたが、列車の運行状況が気になり、高台に逃げずに大船渡市へ戻ろうとした。

 「あの時、津波の危険性を感じていながら避難しなかった。自省の念を込め、震災学習列車の利用者に津波の怖さ、防災の大切さを伝えたい。移管区間でも震災の記憶をしっかりつなぐ」と力を込める。

 新たな震災学習列車は鵜住居駅が発着地になる予定だ。「三陸防災復興プロジェクト」が開幕する6月から、多くの人を乗せる。(真島一郎)

無断転載禁止
60997 0 つながる三陸鉄道 2019/01/03 05:00:00 2019/01/03 05:00:00 熊谷さんの説明を聞く、震災学習列車の利用者(12月3日午前9時43分、大船渡市で)=真島一郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190103-OYTAI50005-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

東京都知事選2020特集ページ
一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
800円650円
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様にコーヒー1杯サービス
NEW
参考画像
2000円1800円
NEW
参考画像
1100円550円
NEW
参考画像
790円720円

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ