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住民と町共に景観守る 厳しい規制違反に罰金も

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電柱の地中化工事が終わり、風情ある日本家屋が立ち並ぶ「毛越寺通り」(平泉町で)
電柱の地中化工事が終わり、風情ある日本家屋が立ち並ぶ「毛越寺通り」(平泉町で)

 平泉町のJR平泉駅前から世界遺産の 毛越寺もうつうじ に向かう「毛越寺通り」。電柱のない道路の両脇には、落ち着いた色の和風の家や店舗が立ち並ぶ。5月の大型連休、仙台市から妻と同寺を訪れた会社員及川光夫さん(55)は「和風の町並みは素晴らしく、散策していても気持ちいい。コロナでにぎわいがないのはさみしいが、また訪れたい」と満足そうに話した。

 町は、世界遺産にふさわしい町づくりを進めようと、景観条例を制定し、2005年に施行した。毛越寺通りの和を基調とした町並みも条例の成果だ。条例の対象は町全体。建築物の高さ、屋根の形状や色、材料などについて細かな規制があり、違反すれば、最高50万円の罰金も科される厳しい内容となっている。

 例えば、建築物の高さは10~15メートルまでに制限され、ホテルなどの高い建物は建てられない。さらに、世界遺産に近接する「歴史景観地区」と自然環境が残る「風土景観地区」では、建物は和風のデザインとし、屋根の形状は切り妻、寄せ棟、入り母屋が基本、色も濃紺、黒、灰などの落ち着いた色彩と指定されている。

 他にも、ブロック塀は避けて生け垣か木塀とする、植栽による緑化を行う、エアコンの室外機は格子状の囲いで隠す――など細部にまで制限を設けている。

 町は、住民と約1年間にわたる議論の末、景観条例を施行した。それ以降、住民と共同で世界遺産の町づくりを進めてきており、その成果として住民自らが景観保全に取り組む活動も出てきた。

 しかし、家を建てる段階になって条例の厳しい規制を知る人が多いのも現実だ。和風建築は洋風と比べてコストが高くなる傾向にあり、厳しい規制に戸惑い、町外で家を建てる人も見られるという。「人口減につながりはしないか」と町の関係者から心配する声も上がる。

 町では、建築物の新築や修繕などの際に最大40万円を支給する補助金を設けているが、かかる費用全体と比べれば、わずかでしかない。町の担当者は「ただただ規制の内容を説明してお願いをするしかない」と打ち明ける。

 町では、ユネスコ世界遺産センターに景観などの保全状況を定期的に報告しなければならず、景観条例が守られているか目を光らせている。

 違反で目立つのは家の補修だ。新築と違って「これくらいなら」と思い込み、屋根を明るい色に塗り替える例が散見されるという。町では「違反を見逃せば、収拾がつかなくなる」として担当者が町内をくまなく巡回。見つけては、塗り直しをお願いするという地道な作業を繰り返している。

 世界遺産に登録された中尊寺などの五つの資産は、平泉駅に近い住宅街の中に点在している。そのため、世界遺産の景観を守るには、今後も住民の協力が欠かせない。町建設水道課の菅原英明課長は「景観の保全は、何世代にもわたって続けなければならない。地味で長い道のりだ」と語る。

(この連載は、小泉公平、中根圭一、押田健太が担当しました)

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2157973 0 登録10年 世界遺産の課題 2021/06/26 05:00:00 2021/06/26 05:00:00 2021/06/26 05:00:00 電柱の地中化工事が終わり、風情ある日本家屋が立ち並ぶ「毛越寺通り」(平泉町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210626-OYTAI50006-T.jpg?type=thumbnail

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