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「こずかた」強豪校に 不来方高校カヌー部監督 小野幸一さん46水本の総体4冠導く

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御所湖で練習を行う不来方高のカヌー部員ら
御所湖で練習を行う不来方高のカヌー部員ら
湖面をこぐ部員らに拡声機で呼びかける小野さん。「指示がちゃんと伝わっているかはわからないけど」と笑う(1日、盛岡市で)
湖面をこぐ部員らに拡声機で呼びかける小野さん。「指示がちゃんと伝わっているかはわからないけど」と笑う(1日、盛岡市で)

 「後ろに水を投げるように! ほら、ギュンって」――。

 7月上旬、盛岡市の県立御所湖広域公園。その一角にある漕艇場で不来方高校(矢巾町)カヌー部監督の小野幸一さん(46)は、部員らに向かって拡声機を使って指示を飛ばしていた。その指導スタイルは、同部出身で東京五輪日本代表の水本圭治選手(33)を教えていた頃から一貫している。

 カヌーの世界では、選手の練習時に指導者がモーターボートで並走しながら声をかけるのが一般的だ。ただ、選手によっては「水面に波が立ち、こぎづらい」と感じる人もいるという。「監督に後ろから付いてこられても嫌だと思う」と選手目線の気配りを忘れない。

 自身は高校生で競技を始めた。地元・山形県の強豪校である谷地高で全国高校選手権や国体に出場し、表彰台に立った経験もある。

 転機は27歳の時。岩手県が体育教員を募集しているのを知り、迷わず応募した。配属されたのは、県内の高校で唯一のカヌー部がある不来方高。「ふーらいぼう? すごい名前だな」。当時はその程度の認識で、決して強豪校とは言えなかった。

 ところが、「こずかた」の名を全国区にする選手は予想より早く現れた。小野さんがカヌー部監督に就任した2004年、水本選手が入学したのだ。入部当初こそカヌーを転覆させることもあったが、その年の夏には頭角を現し始めた。

 今でも鮮烈に覚えているのは、練習拠点の御所湖で500メートルレースを行った時のことだ。水本選手は2分3秒という1年生としては驚異的なタイムをたたき出した。

 「やばいな、こいつをどうにかしなきゃ」。小野さんの専門は片ひざ立ちでこぐ「カナディアン」。だが、座ってこぐ「カヤック」を操る水本選手のため、海外選手の映像を見て研究を重ねた。「かっこよくこげば速くなる」。体のひねり、パドルを水面に対し鋭角に差し込む動き――。水本選手も「小野先生が教えてくれたことは今でも通用する」と感謝を口にする。

 「遊びに興味がなく、一生懸命練習していた」(小野さん)という水本選手のストイックな姿勢もプラス材料となり、3年生でインターハイ4冠を成し遂げる選手にまで成長した。

 小野さんにとって「教え子1期生」でもある水本選手とは、今も連絡を取り合う。19年の世界選手権、水本選手が08年の北京五輪から4度目の挑戦で五輪の切符を勝ち取った時は、LINEで祝福のメッセージを送った。「おめでとう」。水本選手からは「やっとです」と返信があった。

 カヌー部は現在、部員13人。水上での練習は4~10月に限られ、新型コロナウイルスの影響で温暖な地域に遠征もできない。「沖縄でスキーをやれと言うようなもの」。制約のある環境の中、小野さんは水本選手の名を出して、部員に伝え続けていることがある。

 「苦しい時も頑張る力があったから、水本は強くなった。『勝ちたい』という気持ちがある限り、可能性はゼロじゃない」。五輪でも、そんな姿を見せてほしいと願っている。

◇東京五輪が開幕した。県出身のオリンピアンらを支えた人たちの姿や取り組みを追った。

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2242629 0 ともに五輪へ 2021/07/27 05:00:00 2021/07/27 05:00:00 2021/07/27 05:00:00 御所湖で練習を行う不来方高のカヌー部員ら(1日午後6時7分、盛岡市で)=広瀬航太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210726-OYTAI50009-T.jpg?type=thumbnail

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