マリ待望の識字教室、看板に「МORIOKA」…ホストタウン契機に

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識字教室で使われている教科書を手に、マリでの支援活動を振り返る村上さん(7月21日、東京都練馬区で)
識字教室で使われている教科書を手に、マリでの支援活動を振り返る村上さん(7月21日、東京都練馬区で)
盛岡からの寄付で建設されたマリの識字教室の様子(カラ西アフリカ農村自立協力会提供)
盛岡からの寄付で建設されたマリの識字教室の様子(カラ西アフリカ農村自立協力会提供)

 東京五輪・パラリンピックで盛岡市のホストタウン相手国となった西アフリカのマリ共和国。約1万3000キロ離れた同国との結びつきは、同市で学生時代を過ごした女性による長年のマリへの支援活動が背景にあった。ホストタウン認定をきっかけにマリに識字教室も建設され、友好の証しが形として残されている。

 「ほら、これ見て。待ってましたとばかりに大勢の人が来ていますよ」

 カラ西アフリカ農村自立協力会の村上一枝代表(81)は、写真を指さし目を細めた。写っているのは、マリのクリコロ県シラブレ村に建てられた識字教室。女性の自立支援を目的に、盛岡市などで集められた寄付金で建設され、今年3月に完成した。現在、教室にはアルファベットや算数を勉強しようと、多くの村の女性が集まっている。

 識字教室で教師を務める同協力会現地スタッフのムーサ・ジャラさんも「待望の識字教室ができ、盛岡市民に感謝している。多くの女性が自分の名前を書く練習をしている」と話しているという。

 村上さんは、盛岡二高出身。高校卒業後は新潟県で歯科医を開業したが、旅行で訪れたマリで、多くの子どもが病気で命を落としている現状を目にし、「命が軽く扱われていること」に疑問を持った。「私にも何かできることがあるのでは」。1989年、歯科医をやめて50歳手前で現地へ渡った。その後、同協力会を設立。約30年間、井戸の掘削による生活環境の改善や野菜園の造成による女性の収入確保の支援などに携わっている。建設費を盛岡市から現地へ届ける仲介をしたのも村上さんだ。

 識字教室の建設費は約100万円。ホストタウン認定を受け、盛岡青年会議所が昨年、街頭募金やクラウドファンディングで集めた。完成した教室の壁には「DON JCI MORIOKA(盛岡青年会議所によって寄贈された)」と書かれた看板も設置された。同会議所の宮野祐樹さん(39)は「マリの教室に『盛岡』という文字が刻まれていることは誇らしく感じる。今後はお互いが支え合う関係になれば」と話す。

 内閣官房は当初、自治体と各国とのホストタウン締結にあたり、中東やアフリカ諸国との締結が少ないことに懸念を示していた。盛岡市は既にカナダとの締結が決まっていたが、当時の盛岡市東京事務所長、高橋孝子さん(65)が村上さんの活動を知り、「盛岡にゆかりのある人がすばらしい活動をしている。ぜひ相手国にしてはどうか」と、市スポーツ推進課に打診。同課の尽力もあり、2019年8月に正式に登録された。高橋さんは「村上さんの活動がなければマリとの交流はなかった。盛岡にいい刺激を与えてくれた」と話す。

 市はこれまで、ビデオレターなどを通じて交流を図ってきた。マリ柔道代表選手の事前合宿も受け入れる予定だったが、残念ながら今大会で出場権を得ることはできなかった。ただ、10月には盛岡市内で、マリ出身の京都精華大のウスビ・サコ学長による講演会も行われる予定だ。

 同課の細川恒スポーツ推進参与(64)は「直接の交流ができなかったことは残念だが、今後は市民レベルに交流を広げていきたい」と意気込む。交流はまだ始まったばかり。五輪で築かれた絆は大会終了後も広がりを見せている。

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