鶏ふん燃料で循環型農業 焼却の熱でハウス保温 

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鶏ふんを活用した循環型の農業を行う予定のビニールハウスで説明する児玉社長(10月22日、軽米町で)
鶏ふんを活用した循環型の農業を行う予定のビニールハウスで説明する児玉社長(10月22日、軽米町で)
ビーガン認証を受けた南部せんべいを紹介する広告=小松製菓提供
ビーガン認証を受けた南部せんべいを紹介する広告=小松製菓提供

 年間約1000万羽の鶏を扱う国内有数の鶏肉生産地、軽米町。同町では現在、鶏のお尻から日々出る“厄介者”を活用する農業に挑もうとしている。

 その厄介者とは鶏ふんのこと。1羽の鶏が1日に排出するふんは約40グラムにすぎないが、町全体では年間計約3万トンにもなる。これまでも一部をバイオマス発電の燃料や 堆肥たいひ に変えていたが、残りはやむなく焼却処分していた。「ものすごい量で、処分するのも一苦労だった」と、同町の再生可能エネルギー推進室の野中勲専門員は話す。

 そこで、同町は東京都のソフトウェア業「MOVIMAS(モビマス)」と連携し、鶏ふんを燃料に活用した循環型の農業を始めることにした。ふんの焼却で出た熱で温水を沸かし、ビニールハウス内に張り巡らせた管に通すことでハウス内の室温を一定に保ち、野菜の周年栽培を可能とする。ふんの焼却で出る二酸化炭素(CO2)もハウス内に送り込み、野菜の成長を促すのに使う。

 課題は悪臭だが、ふんを炭化する装置を導入し、臭いを軽減させる。来年度中にはハウス6棟を整備し、2023年度からの本格栽培を目指す計画だ。収穫する野菜は学校給食などで提供する。

 無用とされた鶏ふんで目指す地産地消の農業。同社の児玉則浩社長(37)は「今まで捨てていたものを燃料に変換し、循環型社会の仕組みを作りたい」と意気込む。

 日頃、食卓に上る牛や豚、鶏などの肉。これらの肉も実は食卓に出る前に多くの温室効果ガスを出している。飼料の輸入やふん尿処理、小売店への輸送などでエネルギーを必要とするためだ。

 農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県)の荻野暁史上級研究員によると、鶏肉1キロ当たりのCO2排出量は4・3キロ。牛だと骨付き枝肉1キロで同23・1キロにもなる。

 そんな中、酪農が盛んな葛巻町が力を入れているのが牛ふんの資源化だ。03年からくずまき高原牧場に設置された畜ふんバイオガスプラントで、牛ふんを発酵させた際に出るメタンガスを燃焼させて1日最大500キロ・ワット時を発電している。

 今後、酪農家が多い地区にプラントを新たに整備する方針だ。同町は、50年までに「CO2排出量実質ゼロ」を達成すると宣言した県北9市町村の一つ。整備には約2億円がかかるが、町農林環境エネルギー課の村上唯主事は「酪農家との合意形成の上で計画を進めたい」と語る。

 畜産による環境への影響を考慮して、世界的には肉や乳製品などを食べない「ビーガン」と呼ばれる完全菜食主義者が増えている。

 ビーガンの需要を見込み、小松製菓(二戸市)は19年、南部せんべいでNPO法人「ベジプロジェクトジャパン」(東京)のビーガン認証を取得した。せんべいの原材料は小麦粉やごま、でんぷんなどで、もともと動物性食品は使われていないが、認証で商品にはビーガンの人たちが安心して食べられることを示すマークがついた。同社の青谷耕成執行役員(43)は「ビーガン食品として認知度が高まり、外国人も含め消費者の間口が広がった」と手応えをつかんでいる。

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