暑さに強いリンゴ、ブリを使った新商品…環境変化に適応目指す

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高温が原因で表面が変色する「日焼け」になったリンゴ(県農業研究センター提供)
高温が原因で表面が変色する「日焼け」になったリンゴ(県農業研究センター提供)

 温暖化など地球の環境変化を巡っては、温暖化の原因となる温室効果ガス削減などが急務だ。しかし、その一方、変化する自然と向き合おうと、県内の農業や水産業の現場では様々な模索も行われている。

 リンゴの収穫期を迎えた9月。花巻市東和町の果樹園「東部りんご園」では「紅いわて」の実が真っ赤に色付いていた。紅いわては気温が高くなってもきれいに色づくようにと県が開発したリンゴだ。同園を営む小原忍さん(41)は「ここ数年は暑さが厳しく、栽培には苦労してきた」と、紅いわてに期待を寄せる。

 リンゴの実は例年、夏から秋にかけて冷え込むことで赤く着色する。ただ、近年は地球温暖化の影響により実の赤色の元となるアントシアニンの合成が進まず、「つがる」など8~9月に収穫時期を迎える品種を中心に色付きが悪くなる事態が発生。農家の頭を悩ませてきた。

 これに伴って今、注目されているのが紅いわてだ。県農業研究センターが温暖化にも強い品種として開発を進め、2009年に品種登録。登録から10年余りがたち、植えた苗木も成木となり、実を付けるようになった。県内の紅いわての栽培面積は、昨年時点でリンゴ全体の約2%に当たる約50ヘクタールとまだわずかだが、毎年2、3ヘクタールずつ増えているという。

 高温に強い新品種の開発は国も推進している。国立研究開発法人の農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県)でも「紅みのり」「錦秋」といった暑さに強いリンゴの品種登録を行い、現在、県内の農地で試験栽培を実施している。

水揚げされたブリ類の魚(22日、大船渡市魚市場で)
水揚げされたブリ類の魚(22日、大船渡市魚市場で)

 環境の変化は海の現場でも現れている。今月下旬、早朝の大船渡市魚市場にはブリや幼魚のイナダが続々と並べられていた。ブリは西日本でよく取れる暖水系の回遊魚。サンマやサケになじみのある三陸沿岸では「新顔」の魚だが、もはや珍しくなくなってきた。

 県水産技術センターによると、県内で昨年水揚げされたブリは8368トンで06年の約3倍、同じく暖水系のサワラは270トンで同約1・4倍に増加した。冷たい海水を運ぶ親潮の勢いが弱まり、従来は取れなかった魚が黒潮に乗って南から三陸沖に来ているとみられている。

 こうした海の異変は沿岸の基幹産業である水産業に大きな影響を与えている。だが、水産加工業では変化に対応しようとする動きも進む。

 宮古市の水産加工業「丸友しまか」は今年、不漁で調達が難しくなったサンマやサケの取り扱いをやめた一方で、ブリのしょうゆ煮を新商品に追加するなど「新顔」の取り扱いを拡大させている。同社専務の島香 友一ともかつ さん(42)は「今後取れる魚がどうなるか不安もあるが、今ある魚をどう生かすかを考えるしかない。これまでの加工技術を生かし、付加価値の高い商品を開発していきたい」と話す。

 異変には沿岸の自治体も動いた。大船渡市は魚種の変化に対応する水産加工業者を応援しようと、今年度、新たな魚を使って新商品開発を行う場合、費用の一部に補助金を出す事業を開始。同市の水産加工業「タイコウ」はこの補助金を使ってブリなどを缶詰やレトルトにする開発に着手した。執行役員の中村司さん(64)は「環境変化にも工夫して対応し、三陸で取れたおいしい魚を食卓に届けたい」と語る。

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2555153 0 環境連載 2021/11/29 05:00:00 2021/11/29 05:00:00 水揚げされたブリ系の魚(11月22日午前6時44分、大船渡市魚市場で)=黒山幹太撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211128-OYTAI50061-T.jpg?type=thumbnail

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