完了しました
青森県八戸市と福島県相馬市までの沿岸部を結ぶ約1000キロの遊歩道「みちのく潮風トレイル」。東日本大震災からの復興の後押しを目的に環境省が整備を進め、2019年に全線開通した。この魅力を体験しようと、学生時代にワンダーフォーゲル部だった記者(25)が県内沿岸部のコースを歩いてみた。夏本番を前に、全5回にわたって紹介したい。

初回は、大船渡市の碁石海岸の景観が楽しめる初心者向けの約6キロのコースから。まず向かったのは、同市末崎町にある「碁石海岸インフォメーションセンター」だ。トレイルの拠点施設の一つとなっており、ガイドマップを手に入れたり、おすすめのコースを教えてもらったりできる。
スタッフの村上航さん(27)は「トレイルのコースは決まっていますが、忠実に歩く必要はありません。所々で寄り道をしながらマイペースに楽しんでください」と声を掛けてくれた。トレッキングシューズのひもをしっかりと結び、午前10時頃にセンターを出発した。

海沿いに生えるクロマツやアカマツの間に整備された遊歩道を進む。足元には松ぼっくり。大船渡は太平洋沿岸のヤブツバキの北限とされており、所々に咲く赤い花々に癒やされた。また、4~6月はウミネコの繁殖期。海岸沿いの小さな島々を見渡すと、ウミネコだらけだった。「ミャーミャー」と鳴いているのがかわいらしい。
しばらく階段を下ると、「大浜」と呼ばれる浜に出る。打ち寄せる白波が「コロコロ」と音を立てて石を繰り返し洗っている。さらに先へ進むと、「赤磯」や「垂水浜」という浜にも出た。浜によって石や砂の大きさが違い、波音も異なることに気付く。
そのまま海岸を北上していくと、「穴通磯」に着いた。波の浸食で三つの大きな穴が開いた奇岩がある。海岸を巡る小型の遊覧船では、この穴をくぐり抜けることができるという。ベンチで絶景を眺めながら休憩した。
今度は来た道を戻り、南下していく。スタート地点のセンターを通り過ぎると、その先は絶景スポットが目白押しだ。向かい合うように切り立つ断崖絶壁「
末崎半島の先端まで進むと、終着点の「碁石埼灯台」が見えてきた。白く輝く灯台の裏にある展望台に出ると、青い海が視界いっぱいに広がり、気持ちがいい。南方を望むと、陸前高田市の広田半島が見えた。天気が良ければ、宮城県石巻市の金華山まで見渡せるという。

今回は比較的アップダウンの少ないコースで、ほどよい疲労感で午後1時前にセンターの駐車場に戻ることができた。次回からいよいよ、本格的なトレイルコースに挑戦してみる。