【参院選2022 現場の課題】〈2〉住まい再建も戻らぬ人…被災地「産業育て雇用生む」

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防潮堤や土地区画整理事業などのハード整備が完了した大槌町の中心部。空き地が目立ち、にぎわいの再生には至っていない
防潮堤や土地区画整理事業などのハード整備が完了した大槌町の中心部。空き地が目立ち、にぎわいの再生には至っていない

 東日本大震災の被災地では土地のかさ上げや土地区画整理事業が完了し、新たなまちづくりの基盤が整った。しかし、県内沿岸の人口は震災前から約2割減少し、当初の構想に反して「空き地」が目立つなど、まちの再生は思うように進んでいない。

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 「ぽつんぽつんとしか家がなく、普段の買い物客がぐんと減った。今さらどうすればいいのか」。役場や駅に近い大槌町中心部の「 町方まちかた 地区」にある「ひびき鮮魚店」の店主、佐々木定伸さん(60)は嘆く。

 約60年前に開いた店は新鮮な海産物を求める地元客でにぎわっていたが、津波で全壊。仮設店舗を経て、2017年9月にかさ上げ地にオープンしたが、店の周りに戻ってきた住民は少なく、常連客が減少した。復興工事が一段落して関係者が町を去ったことや、コロナ禍も追い打ちを掛けた。

 大槌末広町商店会によると、昭和40年代頃に40軒以上あった店が今では10軒ほど。理事長で茶販売店を営む菊池良一さん(73)は「迷いながらも再建して頑張ってきたが、ここまで人が減った現状では厳しい」と唇をかんだ。

 土地区画整理事業の対象となった町方地区約30ヘクタールには震災前、約1800人が暮らしていた。震災の3年後に住民らがつくった街の将来像では、元の土地で生活を再建したり、新たに住み始めたりする人が集まり、2100人が暮らすと見込んだ。

 しかし、かさ上げが完了したのは震災から6年半以上が過ぎた17年末。多くの住民は待ちきれずに町内の内陸部や町外に新たな住まいを決めてしまい、現在の推計人口は約1000人にとどまっている。

 県によると、土地区画整理事業や住宅の集団移転、災害公営住宅の整備といった住まいの復興は20年までにすべて完了した。しかし、被災地に戻ってくる人は少なく、沿岸の人口はこの11年で19・4%(約5万3000人)も減った。

 行政もこれに手をこまねいていたわけではない。町中心部の空き地が300区画以上の大槌町は17年度、所有者と利用希望者をつなぐ「空き地バンク」制度を導入。登録物件77件中36件で契約を成立させ、大半で家が建てられた。今年度は町中心部で家を新築した人に支援金を支給する移住支援制度を創設する予定で、支援額などを調整中だ。

 一方で、住まいの整備だけで街の活性化は解決しない。国の経済センサスによると、町内の事業所数は09年に800近くあったが、震災後の12年には200を下回った。21年には約450か所に回復したが、震災前の水準にはほど遠い。町企画財政課の太田和浩課長(52)は「雇用を生み出さなければ、町の若者や町外の人は振り向いてくれない。産業を育てることで活性化を図りたい」と話す。

 その方策として町が力を入れるのがサーモンの養殖だ。漁協や水産会社と20年から取り組み、稚魚を育てる施設の整備を支援するなど、増産体制を後押ししている。養殖が定着すれば、秋サケの不漁で苦しむ水産加工場や魚市場の収入となり、雇用の創出につながると期待を込める。

 岩手大地域防災研究センターの麦倉哲客員教授(災害社会学)は「復興とは、この地域で暮らし続けられるという安心感を持てること」と語る。そのためには、若者から高齢者までのバランスのとれた人口が必要で、「『地域おこし協力隊』制度の拡充など、外から人を呼び込む対策が必要だ」と指摘している。

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3122075 0 参院選2022 課題の現場 2022/06/29 05:00:00 2022/07/01 20:25:32 2022/07/01 20:25:32 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220628-OYTAI50043-T.jpg?type=thumbnail

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