被災地で20歳の誓い…犠牲の友、家族の分も
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東日本大震災の被災地で10日、成人式が行われ、新成人が思いを新たにした。成人の日の11日は震災から9年10か月。当時小学4年生だった新成人たちは友達との再会を喜び合い、復興を確認しあった。ただ、新型コロナウイルスの影響で式を中止・延期した自治体も多く、県内で10日に開いたのは宮古、岩手、住田の3市町と、関係者の式典を配信した陸前高田や盛岡などの7市町にとどまった。
陸前高田市では、実行委員会の新成人9人が出席した式典の様子がオンラインで配信された。市によると、市内では当時小学4年だった高田小の男子児童1人が震災で亡くなったという。
同小出身の
薬剤師を目指し、東北医科薬科大(仙台市)の薬学部に進学。新成人の代表として登壇した鵜浦さんは「震災で共に成人を迎えることができなかった同級生の分まで高い志を持ち、後輩たちの手本になるよう励みたい」と決意を語った。
大槌町では、成人式が中止になったが、町中央公民館前に「祝成人」と書かれた看板が掲げられ、新成人らが振り袖やスーツ姿で記念撮影していた。
震災の津波で亡くなった鬼原凜さん(当時10歳)と同じ保育園に通っていた小松未来さん(19)は、3月に短大を卒業し、4月からは釜石市のメーカーに就職する。「妹の面倒見がよく、責任感が強かった凜ちゃんの思い出を忘れないようにして、これから地元に貢献できるよう頑張っていきたい」と話した。
一方、宮古市は予定通り式典を開催した。新成人は間隔を空けた指定席に座り、郷土芸能の披露など恒例行事は中止。所要時間を例年の半分以下とした。
盛岡大2年の村上詩織さん(20)は震災で亡くなった祖父の達男さん(当時68歳)を思い出し、「いつも笑顔で、絵や習字で賞をとると喜んでくれた。成長した姿を見せることができてよかった」と話した。
盛岡市が10日限定で設置したフォトスポットを両親と訪れた同市の専門学校2年、山口
奥州市のホテル・プラザイン水沢では、新成人ら約30人が市の配信した成人式を大画面で見ながら小グループで軽食を楽しんだ。同市胆沢の会社員高橋芹奈さん(20)は「悩んだけれど、せっかくの機会だから振り袖を着てたくさん写真を撮った」と話した。