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津波犠牲町職員克明に 遺族要望で報告書 目撃情報時系列で 大槌町役場

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完成した報告書「大槌町役場職員」。犠牲となった役場職員の動きが時系列にまとめられている
完成した報告書「大槌町役場職員」。犠牲となった役場職員の動きが時系列にまとめられている
報告書の完成にあたり、記者会見で思いを述べる平野町長(21日、大槌町で)
報告書の完成にあたり、記者会見で思いを述べる平野町長(21日、大槌町で)
報告書の冊子に目を通す(左から)前川寿子さんと小笠原人志さん、吉子さん夫妻(大槌町で)
報告書の冊子に目を通す(左から)前川寿子さんと小笠原人志さん、吉子さん夫妻(大槌町で)

 東日本大震災で役場庁舎が津波にのまれ、職員ら40人が犠牲となった大槌町が、当日の職員の動きを記した報告書「大槌町役場職員」を完成させた。遺族による要望を受けて再調査したもので、震災から10年を経て最期まで職務を果たそうとした職員の姿が明らかになった。(宍戸将樹、押田健太)

 報告書はA5判、計109ページ。遺族が調査・掲載を承諾した38人の足取りや人となりなどをまとめた。町はこれまでも震災時の初動対応を2013年度と16年度の2度にわたり検証。19年度には当時の出来事を記した震災記録誌も発刊したが、遺族から「どんな状況で亡くなったのかわからない」という声が上がり、改めて調査を行うことにした。

 調査では、当時の役場職員ら56人から再度聞き取りを行い、犠牲となった職員の動きを時系列に克明に明記。庁舎の外に置かれた災対本部の設営を行ったり、庁舎内から外の同本部に向けて潮位計の数字を読み続けたりした職員らの最期の目撃情報をまとめた。

 特に、災害時の道路や下水道復旧を担当し、当日出勤した13人のうち11人が犠牲になった地域整備課は、これまで詳しい様子が分かっていなかったが、「ひとまず、待機すっぺし」との指示で、多くの職員が見回り準備のため室内に待機。津波到達の約10分前まで災害対応の経過を模造紙に記入したり、業者に被害確認の連絡をしたりしていたことがわかった。

 調査に当たった任期付き職員で元専門紙記者の佐藤孝雄さん(55)は「最期の足取りが初めてわかった人もおり、遺族からは感謝の声もあった」と話す。このほか、報告書では、各職員が最後に目撃された地点を地図で示したほか、職員が撮影した津波の写真を基に午後3時26分頃とされていた役場への津波到達時間について同21分頃と結論づけた。

 21日、町役場で記者会見した平野公三町長は「全国のどこの自治体であっても、大槌のような悲しく苦しい出来事が二度と起こらないよう、記録と教訓を後世に伝えたい」と、報告書をまとめた意義を述べた。

 報告書は1000部発行。500部は県内外の自治体などに配布し、残り500部は税込み700円で26日から販売する。8月には町のホームページでも無料公開する。問い合わせは町協働地域づくり推進課(0193・42・8718)。                                    

遺族複雑な心境語る

                 報告書の完成を受け、町に職員の死亡状況調査を要望した遺族で、娘の裕香さん(当時26歳)を亡くした小笠原人志さん(68)、吉子さん(69)夫妻と、夫の正志さん(当時52歳)を亡くした前川寿子さん(62)が町内で記者会見した。

 遺族からはそれぞれ複雑な心境が話された。人志さんは「個人的には中身が物足りないところもあるが、町が責任を持って聞き取り調査をしてくれた。私自身は消化しても良いのではと思う」と評価した。

 吉子さんは「私たちのような思いをしてほしくないと調査をお願いした。だが、職員にとっては思い出したくないこともあるだろう。迷惑をかけて申し訳ない」とおもんぱかった。

 前川さんは「最後まで父ちゃんを助けようとしてくれていた職員の方のことが分かって良かった。見るのはつらかったが、少しずつ読んでいきたい」と話した。

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2225959 0 ニュース 2021/07/22 05:00:00 2021/07/22 05:00:00 2021/07/22 05:00:00 完成した報告書の冊子「大槌町役場職員」冊子には震災当時の役場職員の動きなどがまとめられている(19日午後0時15分、大槌町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210721-OYTNI50051-T.jpg?type=thumbnail

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