ブラックホール次は動画 地域、大学連携にも意欲 国立天文台水沢VLBI観測所 本間所長に聞く

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2度目のブラックホール撮影成功の喜びを語る本間所長(17日、奥州市で)
2度目のブラックホール撮影成功の喜びを語る本間所長(17日、奥州市で)

 2度目の巨大ブラックホールの撮影に成功した国際研究チームで、日本の研究者をとりまとめた国立天文台水沢VLBI観測所の本間 希樹まれき 所長(50)が、読売新聞のインタビューに応じた。今後5年ほどでブラックホールの動画作成を目指す考えを明らかにしたほか、地域との関わりを強める意欲も示した。(聞き手・押田健太)

撮影成功2度目

                                  ――2度目の撮影の意義は。

 今回撮影したブラックホール「いて座Aスター」は、私たちが住む天の川銀河の中心にある特別な天体。存在は証明されていたが、今回の撮影でブラックホールであることが確認された。2019年に初めて撮影に成功した銀河「M87」のブラックホールよりも近くにあり、桁違いの精度で重さや距離がわかる。

 ブラックホールは銀河の誕生や進化に何らかの役割を担っていると考えられており、間接的には人類の誕生にも関わっている。「M87」ではできなかったような研究が「いて座Aスター」を使ってたくさん行われるようになる。

 ――水沢の研究者が果たした役割は。

 観測したデータを画像解析する重要な貢献を果たした。全体で四つの解析方法があり、そのうち一つを日本が担当した。主要なメンバーはみんな水沢に縁がある人だった。私は画像解析をする大学院生らにアドバイスを行った。

 プロジェクトには世界中から研究者300人以上が参加した。新型コロナウイルスの影響で撮影成功を集まって祝うことができず、少し寂しかったが、10年以上研究してきた成果が出て、こんなにうれしいことはない。ブラックホールの撮影で観測所の認知度が大きく上がったのも良かった。

 ――今後の目標は。

 プロジェクト全体の夢になるが、次は動画を撮りたい。ブラックホール周辺ではガスが回ったり、ジェットが噴出したりしている。動きを見える化できれば、ブラックホールの理解が圧倒的に進むだろう。5年ほどかかる可能性はあるが、目指したい。

 今回は17年に世界8か所の電波望遠鏡で観測したデータを解析したが、動画化をするためにはデータ量が不足していた。チームは21年以降、望遠鏡を11か所に増やしてデータを集めており、動画化できる可能性もある。望遠鏡の数も増やしていきたい。

研究継続が大切

                                  ――研究を進める予算は十分なのか。

 4台ある電波望遠鏡は何とか運用できているが、予算が減って若手研究者の人件費や研究費が足りない。研究員も15年の12人から現在は8人に減少した。博士研究員(ポスドク)は2~3年契約のため、長期的に大きな夢を描いた研究もできない。

 国だけに頼ると、限られた予算の取り合いになる。別の資金調達方法が必要で、現在、2000万円を目標にクラウドファンディングを実施している。地元企業との折半で研究者を雇い、共同研究する企業連携も始めた。

 ――地域との連携も重要になる。

 岩手大と県立大に連携した講座を作り、最先端研究ができるこの施設を使って、それぞれの学生と一緒に研究したい。岩手は「銀河」で売っている県なので、銀河の研究もできれば、大学や地域の魅力化にもつながると思う。

 ――所長からメッセージを。

 研究は続けることが大切。1899年に臨時緯度観測所として設置されてから約120年研究を続けてきた実績がある。科学分野でも日本が国際社会で果たす役割は重要で、韓国や中国といった東アジア地域での協力にも力を入れている。そうした研究が岩手で行われているということを知ってほしいし、今後も岩手から研究成果を出し続けていきたい。

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