現役高専生が考案の認知症予測システム、評価額10億円…AI技術競うコンテストで最優秀賞

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 人工知能(AI)やものづくりの技術を活用した事業の完成度を競う「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト」が今春開かれ、一関工業高等専門学校(一関市)の学生3人でつくる「Team(チーム)MJ」が最優秀賞を受賞した。考案したのは、認知症の早期発見や予防に活用できるシステムで、メンバーは年内の起業を目指している。(押田健太)

コンテストで最優秀賞を獲得した菊地さん、石井さん、佐藤さん(左から)(3日、県庁で)
コンテストで最優秀賞を獲得した菊地さん、石井さん、佐藤さん(左から)(3日、県庁で)

 チームメンバーは、専攻科1年(大学3年相当)の石井聖名さん(21)と菊地佑太さん(21)、佐藤汰樹さん(20)。開発したシステム「D―walk(ウォーク)」は、スマートフォンと靴の中敷き型のセンサーで構成。スマホに内蔵される加速度センサーで歩く速さ、中敷き型のセンサーですり足歩行や前傾姿勢のデータを取得。認知症の前段階である軽度認知障害かどうかを判定することが可能だ。

 開発にあたって、健康講座などが開かれている一関市民センターに通う高齢者約100人から、歩行データと認知症検査のスコアを収集した。両データを基にAIで解析することで、8割以上の精度で軽度認知障害の予測ができるという。通常、軽度認知障害の診断には医師の診察などで2万円ほどかかるが、同システムでは、システムの毎月の利用料金の数百円程度に抑えられるという。

 保険会社にシステムを利用してもらうことで、利用料金の負担を軽減するビジネスモデルも考案した。保険会社が、認知症保険の被保険者にシステムを提供し、認知症の早期治療につなげることで保険金の支払額の低減を実現。これによって保険料の割引につなげ、利用者が継続的に利用する動機付けができるようにする。継続的に歩くことによって、認知症の予防にもつながるという。

システムで使う靴の中敷き型のセンサー
システムで使う靴の中敷き型のセンサー

 コンテストは4月末にオンラインで行われ、高専22校の計41チームが出場。同チームは、 緻密ちみつ なビジネスモデルやデータの信頼度が評価され、最優秀賞を受賞した。現役投資家による審査で、事業の評価額は10億円、投資可能額は5億円といずれも過去最高となった。

 3人は、認知症の早期発見の研究をしてきた鈴木明宏教授の指導のもと、昨夏から開発を進めてきた。佐藤さんは「培ったAIの技術の使い道を見つけることができた」、菊地さんは「センサーやAIといったそれぞれの得意分野を生かせた」と受賞を喜んだ。

 今月3日には、チームの3人が県庁を訪れ、達増知事に結果を報告した。達増知事は「高齢化が進んでいる本県の地域課題解決につながると期待している。起業を目指す若者の励みにもなる」とねぎらった。

 今回とりまとめた事業案をもとに、3人は年内に、一関市で株式会社を設立する方針だ。システムの精度を上げるため、すでに高齢者100人のデータを追加で集めているという。石井さんは「計り知れない評価を受けた重みがある。まずは身近な高齢者の方にシステムを届けていきたい」と意気込んだ。

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3080403 0 ニュース 2022/06/14 05:00:00 2022/06/14 05:00:00 2022/06/14 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220614-OYTNI50000-T.jpg?type=thumbnail

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