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    「かっこよさ」発掘に達成感

     ◇音楽フェスティバルプロデューサー 定家崇嗣さん 33(高松市)

     四国最大級の野外音楽フェスティバル「モンスターバッシュ(モンバス)」のプロデューサーを2011年から務める。今年は8月下旬に国営讃岐まんのう公園(まんのう町)で全国から訪れた約5万人が2日間にわたり、人気バンド「MAN WITH A MISSION」など54組の演奏に酔いしれた。

    • 「モンバスは生の音楽を会場にいる全員で共有できる空間」と話す定家さん。これまでの公式パンフレットを手に笑顔を見せる(高松市で)
      「モンバスは生の音楽を会場にいる全員で共有できる空間」と話す定家さん。これまでの公式パンフレットを手に笑顔を見せる(高松市で)

    「観客にも、出演者にも愛されるイベントを作りたい」。客席の興奮を眺め、舞台の袖口で笑顔を浮かべた。

     岡山県倉敷市出身。音楽は演奏よりも聴くことが好き。学生時代は、スピッツの「ロビンソン」やMr.Childrenの「シーソーゲーム」など、発売前の「かっこいい」新曲をラジオで耳にすると、翌日には友人に勧めた。教室で話題になると、うれしくなった。「僕が流行をつくったんだ」。

     愛媛大に進学。音楽に関わりたいとの思いから、四国全域でライブなどを手がけるイベント会社「デューク」(本社・高知市)でアルバイトを始めた。

     だが、イベントの運営は想像以上に過酷だ。公演時間は2~3時間でもスタッフの拘束は早朝から深夜に及ぶ。仕事内容も観客誘導など、決して華やかなものではない。

     それでも「公演後は一つのステージをつくり上げた達成感でいっぱいだった」。出演者はもちろん、音響、照明、入場券を整理・販売する人……。様々なスタッフの働きがあって観客を笑顔にできる。みんなでイベントを成功に導く面白さにのめり込んだ。

     大手企業から内定をもらったが「大好きな音楽と一番近いところにいたい」と辞退。当時のデューク・松山支社長にその思いをぶつけ、04年から正社員になった。

     所属は高松市にある高松支社。会場の警備など下積みを経て、会社で最も大がかりなモンバスのプロデューサーになった。

     しかし、2000年代前半、モンバスの観客数は予想よりも数千人下回っていた。会場への交通事情が良くないことが原因だ。プロデューサーになる前だったが悔しさが募った。「不便な場所でも行きたいと思えるイベントにしないといけない」と強く思った。

     その回答が、無名バンドをステージに上げたことだ。ライブハウスに出向き、CDも聴いて、可能性を感じられれば出演を依頼した。今年のモンバスで初日のオープニングを飾った愛媛のバンド「LONGMAN」もそうだ。3月に高松市内であったイベントで注目したからだ。

     個性をむき出しにした彼らの演奏が、観客を引き寄せてくれたという。いつしかモンバスの出演は、四国のバンド仲間にとって、憧れの舞台となった。モンバスを足がかりにメジャーになったグループはいくつもある。

     「『誰やねんそれ』ってバンドを、出演を機に広く知ってもらう。そこに達成感があるんです」。「かっこいい」音楽をこれからも探し続ける。(岸田藍)

     <メモ>

     屋外の開放的な空間で音楽を楽しむ「夏フェス」は、毎年7~9月頃に全国各地で行われ、夏の風物詩として定着している。

     モンスターバッシュ(モンバス)は、2000年から始まり、今年で16回目。2回目までは会場を変えていたが、3回目の02年からは、まんのう町の国営讃岐まんのう公園で行っている。02年に2万人だった観客は、14年に過去最高の5万人を動員するまでになった。

     当初、11組だった出演者も会場の規模と観客数の増加に伴い、14年は過去最多の54組。「マキシマム ザ ホルモン」「MONGOL800」「チャットモンチー」などが常連だ。

    2015年09月13日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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