空き店舗にええ物集め

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「おしろのまちの市」の会場となる元果物店の前で思いを語る浜本さん(丸亀市浜町で)
「おしろのまちの市」の会場となる元果物店の前で思いを語る浜本さん(丸亀市浜町で)

 ◇「おしろのまちの市」実行委員会 浜本 康宏さん 49

 空き店舗率が3割を超え、シャッターが目立つJR丸亀駅前の商店街。ここで年に数回、県内外で人気の高いスイーツやアクセサリーなどの約100店が商品を並べる催しが開かれ、1日数千人でにぎわう。大阪市から丸亀市に移住し、この「おしろのまちのいち」をたった一人で運営する。10月7、8日にある6回目の市に向け、出店交渉や会場の確保など準備に奔走中だ。

        ■     □

 移住したのは10年前。それまで、大阪の中心街・ミナミでデザイン事務所を営んでいた。季節を感じる間もなく仕事に追われ、秋には黄金色に染まる御堂筋のイチョウ並木を見た記憶もない。40歳を前に、ふと「人間らしくないんじゃないか」と思い、大阪を離れる決心をした。選んだのが丸亀だった。

 顧客がいたからという理由で、下見は一度もせず、知人が探した物件に越した。だが、つい大阪での暮らしと比べてしまう。「飲み屋も、休日に遊ぶ場所も少ない。おもしろくなかった」

        ■     □

 転機は2013年の瀬戸内国際芸術祭。丸亀市沖の本島が初めて会場となり、市が駅前で、10年近く前に閉まっていた元果物店にパイプ椅子を並べてお茶を出す休憩所を設けることになった。知人から聞き、「せっかく人が来るのに、それだけではもったいない」と、人気店の商品を提供することを提案。2日間で企画書を書いて市の了承を得ると、出店交渉や会場の準備を急ぎ、2週間で実現にこぎ着けた。

 「大型店が郊外にできた」「過疎が進んでいるから」――。商店街の店主らに企画を説明した時には、廃れるのを諦める言葉が返ってきた。だが、芸術祭の間、休憩所は1日250人でにぎわった。「ちゃんとした中身があれば人は来る」と確信した。

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 「駅前には美術館や城もある。あとは催し。芸術祭がない年にこそやろう」。そう考え、翌14年からも年1回、複数の空き店舗を利用して、知人と開催を続けた。17年からは頻度を増やし、一人で実行委を担っている。

 商店街で開催することにこだわる。「うろうろしながら既存の店を知り、市のない日にも訪れるようになってほしい」との思いからだ。インターネットのほか、新聞の折り込みチラシでも周知。「関心の少ない人にこそ、日常をちょっとおもしろくしてほしい」との願いを込める。

 それでも、現実は厳しい。会場としてきた空き店舗のうち数軒が、既に更地となった。「地域活性化という大きなことは考えていないけれど、さみしいよりにぎやかな方が楽しい。できる限り続けたい」

(黒川絵理)

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42717 0 人あり 2018/09/30 05:00:00 2018/09/30 05:00:00 市の会場となる元果物店の前で思いを語る浜本さん(丸亀市浜町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180929-OYTAI50005-T.jpg?type=thumbnail

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