伝統と革新ともる提灯

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伝統の技で「日本の灯り」をつくり続ける三好さん(高松市で)
伝統の技で「日本の灯り」をつくり続ける三好さん(高松市で)
店頭にはユニークなうどん提灯も並ぶ
店頭にはユニークなうどん提灯も並ぶ

 ◇三好商店11代目 三好 正信さん71

 魚やカッパのほか、箸で丼から持ち上げたうどん、そしてサンタクロースも。店頭に並ぶ色とりどりの造形は、みな「讃岐提灯ちょうちん」の作品だ。通学途中の子どもたちが、興味深そうにのぞき込んでいく。

 1610年創業の提灯製造「三好商店」(高松市藤塚町)の11代目。伝統の技法を守り継ぎ、全国の寺社からの注文に応えつつ、自ら編み出した新たな技で独創的な作品を手がけてきた。「日本のあかり文化は世界に通じる」との思いが原動力だ。

■     □

 讃岐提灯は、弘法大師空海が作り方を中国から持ち帰ったと伝わる。四国八十八か所霊場への奉納品などとして盛んに作られるようになった。

 三好商店の特徴は、1本の竹ひごを切らずに巻き、提灯をかたちづくる技法だ。「讃岐一本掛け」と呼ばれ、入れ子のような三重構造に仕上げることができる。それぞれの提灯に文様や祝詞を記し、灯りをともせば内側の絵や文字も浮かび上がる。

 この複雑な技は「一子相伝」。生まれたときから身近にあった竹ひごでたこなどを作って遊び、7歳から先代の父に仕込まれた。大学卒業後、銀行員との二足のわらじをはいた時期もあったが、父が亡くなった28歳から職人の道に専念した。

 高品質な提灯を明治神宮など全国の寺社へ届けるうち、国際博覧会(万博)への出展を請われるようになり、「国際花と緑の博覧会」(1990年、大阪)のほか、豪州やドイツの万博会場を日本の灯りで彩った。

 その中で造形の可能性を広げようと思案するうち、編み出したのが「新一本掛け」。一本掛けで仕上げた型に、小型のパーツを組み合わせて拡張していき、自在に様々な形を作り出す。鶴や竜をかたどった大きく複雑な提灯づくりが可能になり、国内外で展示を重ねた。

 2008年には日本とクロアチアの外交樹立15周年を記念し、折り鶴の形をした「光る鶴」を、平和を祈る同国大統領のメッセージとともにドナウ川へ流した。「提灯は日本と世界の懸け橋になる」との思いを強くした。

■     □

 現代の暮らしの中では祭事や店舗のインテリアに用途が限られる提灯だが、「日本の灯り」に親しんでもらう機会づくりに腐心している。

 香川大には提灯づくりを子どもたちに教えるサークルがあり、学生が店に通って手仕事の基本を学ぶ。「さらに下の世代へとつないでくれているのが、何よりうれしい」

 高度な技は、長男の年也さん(40)が受け継ぐ。「大学卒業と同時に自分から『継ぐ』といってくれた」。そう言って相好を崩した。

 省エネな発光ダイオード(LED)の普及にも「普段使いの可能性が広がる」と背中を押され、まだまだ新たな灯りづくりに精進するつもりだ。(北野浩暉)

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44544 0 人あり 2018/10/14 05:00:00 2018/10/14 05:00:00 伝統を受け継ぐ提灯職人三好さん(高松市で)=北野浩暉撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181013-OYTAI50013-T.jpg?type=thumbnail

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