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邦坊の魅力 未来に継ぐ

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灸まん美術館・学芸員 西谷 美紀さん

和田邦坊のスケッチブックなどを手に思いを語る西谷さん(善通寺市で)
和田邦坊のスケッチブックなどを手に思いを語る西谷さん(善通寺市で)

 灸まん美術館(善通寺市)の収蔵室に30年近く手つかずのまま眠っていた琴平町出身の画家・和田邦坊(1899~1992年)の作品を調査している。

 邦坊の遺族から1992年に寄贈されたもので、トタン製の黒い箱(幅80・5センチ、奥行き45センチ、高さ25・5センチ)に入っていた。

 昨年、初めて開封。邦坊が手がけた雑誌のエッセーや新聞漫画、描きかけの下絵、政治家らの似顔絵をまとめたスケッチブックなどが未整理のまま詰め込まれていた。その一部を企画展「讃岐の画家、和田邦坊」(25日まで)で公開している。

 高松市で育ち、龍谷大文学部で国史学を専攻。「美術の専門家ではない」としながらも、「邦坊さんが生きた時代と合わせて作品を分析することで、現代に通じる魅力を発信する。歴史を学んだ私の役割です」と力を込める。

 郷土史を研究していた母方の祖父と、古墳巡りに連れて行ってくれた父方の祖父の影響で、幼い頃から歴史好きだった。大学で近世の教育を研究する傍ら、京都府宇治市の歴史資料館でアルバイトをし、発掘調査や展示パネル作りなどに携わった。

 大きな博物館と違い、発掘現場から戻ると、資料を整理して記録をつけ、展示方法も考える。「専門外の時代に触れ、資料を見つける『川上』から、それを紹介する『川下』まで一連の流れを体験できた」と言う。「研究成果をどのように伝えればいいか、学ぶことができた」ことが今に生かされている。

 邦坊との出会いは2011年。高松市に帰郷して栗林公園内の讃岐民芸館に勤務し、秋の企画展を準備していた時だった。割れていた素焼きのほうろくをつなぎ合わせると、内側にカッパの絵があった。初代館長の邦坊が描いたものだった。

 調べると、料亭で明かりの代わりに100円札を燃やす成り金を風刺した「成金栄華時代」を描き、「灸まん」「名物かまど」などの包装紙を手がけた人物だった。「子どもの頃から見慣れた作品ばかり。高松っ子なのに、邦坊さんのことは知らなかった」

 古参のスタッフに話を聞くなど調査を始め、邦坊にのめり込んだ。別の博物館に移っても続け、18年2月、灸まん美術館の学芸員に。「邦坊漬け」の日々を送り、これまでの成果を2冊の「和田邦坊の基礎的研究」にまとめた。

 初めて封を解いたトタンの箱。古代ギリシャの 寓話ぐうわ になぞらえて「パンドラの箱」と呼ぶ。寓話では、箱の底に「希望」だけが残る。目の前の箱にはまだまだ、未知の作品が眠っているかもしれない。

 「あまりに膨大で、調査がいつ終わるかわからない」と笑う。「香川には邦坊ゆかりの場所がたくさん残っている。それらを関連付けながら紹介することで、和田邦坊を歴史の一ページとして終わらせず、未来へと受け継いでいきたい」(浦西啓介)

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2207204 0 人あり 2021/07/15 05:00:00 2021/07/16 14:24:12 和田邦坊のスケッチブックなどを手に思いを語る西谷さん(善通寺市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210714-OYTAI50041-T.jpg?type=thumbnail

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