<7>若い感性 日本酒に新風

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

「多くの人に日本酒を口にしてもらいたい」と話す酔鯨酒造の大倉社長(高知県土佐市で)
「多くの人に日本酒を口にしてもらいたい」と話す酔鯨酒造の大倉社長(高知県土佐市で)
女性も飲みやすい酒造りに挑戦する仙頭社長(高知県芸西村で)
女性も飲みやすい酒造りに挑戦する仙頭社長(高知県芸西村で)

 ◇異業種コラボ■女性向け開発

 近年のワインブーム、焼酎ブームのあおりをうけ、日本酒の国内出荷量はピークの3分の1に落ち込んでいる。「淡麗辛口」で知られる高知の酒も逆境にあるが、若くてしなやかな感性で、新風を送り込んでいる〈蔵人くらびと〉たちがいる。

 ワインの仏・ブルゴーニュ、ビールの独・ミュンヘンのように、高知を日本酒の本場に――。酔鯨酒造(高知市)の4代目・大倉広邦社長(40)は、「日本酒は安酒」というイメージを払拭ふっしょくするため戦略を練る。

 祖父が創業した酒蔵だが、関東の大学を卒業後、ビールメーカーに就職。実家の酒が屋外に雑に並べられ「値引き」の札が貼られているのを目の当たりにしてショックを受けた。7年前に脱サラして、実家を手伝うようになった。

 2016年に社長になっても、“営業マン”として東奔西走する。会社員時代に教えられた「企業も人も、成長しようと努力し続けないと衰退するのみ」という言葉を胸に、斬新なアイデアを次々繰り出す。

 酒瓶のラベルをファッションデザイナーに依頼したり、高級食器ブランドで「鯨」のマークの入った杯をつくったり、異業種とのコラボにも積極的だ。

 18年には、高知県土佐市に吟醸酒の生産に特化した製造工場を建設。洗米、精米はオートメーションで、部屋ごとにドアで仕切り、作業ごとに適切な温度を保つ。一方、0・9トンと比較的小さいタンクで管理するのは、高い品質を維持する工夫だ。

 やり方が「チャラい」といわれることもあるが、根底にあるのは、品質に対する絶対的な自信。「丹精込めてつくった日本酒がワインやビールに劣るわけがない。きっかけはなんでもいい。まずは飲んでみてほしい」

 1903年創業の仙頭酒造場(高知県芸西村)は、2児の母親でもある仙頭美紀さん(44)が社長を務める。県内に18ある酒蔵の中で唯一の女性トップだ。

 「酒蔵の娘」だが、大学生の頃は、日本酒は「悪酔いする」「女性が飲んでるとどう見られるのかな」と、マイナスイメージが強く全く口にしなかった。しかし卒業後、東京の地酒専門店で勉強するなかで、全国各地の美酒に出会い、魅力にとりつかれた。

 「自分のように、日本酒になじみのない人が、気軽に飲める酒づくりを」という思いが、商品づくりにも生かされている。

 「フレッシュ&ジューシー」と好奇心をそそる宣伝文句や、「野菜の天ぷらなど季節の素材を生かした料理と相性が良い」などの説明をラベルに添えた。

 2014年には、女性をターゲットにした「美潮」を発売。ブランド名は長女からとった。女性向けに、白ワインをイメージし、甘口だけどべったりはしない、「蜜のような上品な甘さ」が売りで、今では同社の代表ブランドに成長した。

 「酒造りは子育てのよう。手をかけただけ、おいしくなる楽しさがある」。女性ならではのこまやかさで、日本酒の可能性を広げている。

(中西千尋)

 ◇カフェ、ラベル人気

 若い女性たちから注目を集めているのが、愛媛県砥部町の協和酒造の「酒蔵カフェ」。酒蔵に併設し、酒造りで出る酒かすをつかったケーキ、甘酒などを提供、日本酒の試飲もできる。「小さい酒蔵だが、観光地の利を生かし、訪れた人に日本酒の魅力を知ってもらえる」という。最近では、甘酒や酒粕が美容にいいとされ、人気が出ている。

 徳島県三好市の三芳菊酒造の製品のラベルは、若者を意識して、アニメ風のキャラクターをあしらっており、ラベルのコレクターもいるという。

無断転載・複製を禁じます
61320 0 次代の扉 四国の平成 2019/01/08 05:00:00 2019/01/08 05:00:00 「多くの人に日本酒を口にしてもらいたい」と話す酔鯨酒造の大倉社長(5日午後1時44分、土佐市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190107-OYTAI50061-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

NEW
参考画像
500円400円
参考画像
ランチでご来店のお客様にジェラートをサービス
参考画像
アクティビティご利用でソフトドリンク1本サービス

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ