<5>迫力と愛嬌 鬼に盛る

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

讃岐装飾瓦 香川県三木町

一枚一枚、手仕事で伝統の鬼瓦を作り出す神内さん(香川県三木町で)
一枚一枚、手仕事で伝統の鬼瓦を作り出す神内さん(香川県三木町で)
底に鬼瓦がデザインされた「鬼瓦さぬきうどんの器」。角と牙が器を支える
底に鬼瓦がデザインされた「鬼瓦さぬきうどんの器」。角と牙が器を支える
粘土同士を接着する時に使う熊手のような「かきやぶり」(左から2本目)など様々なへらが手仕事を支える
粘土同士を接着する時に使う熊手のような「かきやぶり」(左から2本目)など様々なへらが手仕事を支える

  魔よけの鬼や縁起物の唐獅子、防火の願いを込めたしゃち――。江戸時代後期、装飾がわらが民家の屋根も飾るようになり、古代から瓦生産が盛んだった讃岐の地に優れた技が花開いた。

 神内俊二さん(68)は、この道39年の県伝統工芸士。香川県三木町の工房で、土選びから成形、焼き上げまで、時間のかかる手仕事を守り続け、迫力の中にもどこか愛嬌あいきょうのある表情を生み出している。

 土をこね、基礎となる粘土板の上にさらに粘土を盛って鬼の顔を作っていく。幾種類ものへらを使い、眼光鋭い目や牙、角を造形する。乾くと表面のキメが粗くなるため、へらで滑らかにする作業も繰り返す。ここまでに1週間。

 その後が「最も大切」という乾燥だ。早く進み過ぎるとひびが入る。固く絞った布を巻き、何度も交換しながら約10日をかけて乾かしていく。「手を入れ過ぎると、えらい目に遭う。じっと待つのも大事な仕事」

 最後は焼成だ。灯油窯で10~15時間かけて焼いた後、窯の中に木材を入れて煙でいぶす。炭を焼き付けることで強度が増し、独特の「いぶし銀」の輝きをまとうまで、3日はかかる。

 新建材の普及にマンションの増加……。瓦を上げる家は減ってきたが、用途を広げる努力を惜しまない。底を鬼瓦の意匠で飾った「鬼瓦さぬきうどんの器」は、県産品のコンクールで最優秀賞を獲得。香炉やキャンドルホルダーも手がける。「道具として使い、暮らしの中で伝統を感じてもらえれば」と願う。

 2013年の瀬戸内国際芸術祭では、香川県内3000人の中学生がそれぞれ鬼瓦を焼き、女木めぎ島(高松市)の洞窟を飾るアートプロジェクトを支援。この4月に開幕する4度目の芸術祭でも、約100人の中学生と展示替えに挑む予定だ。若人たちとの共同作業を楽しみにしている。(妻鹿国和)

無断転載禁止
438794 0 四国の伝統工芸 知っていますか 2019/02/11 05:00:00 2019/02/10 23:09:07 装飾瓦は神内さんの手作業で作られ、完成までに多くの時間を要する(三木町で)=妻鹿国和撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190210-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ