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渓流の女王 滋味たっぷり

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汗見川の源流域。支流を釣り上がっていく(高知県本山町で)
汗見川の源流域。支流を釣り上がっていく(高知県本山町で)
釣ったアメゴは塩焼きにして堪能した
釣ったアメゴは塩焼きにして堪能した

 新型コロナウイルスの影響が長引く中、密を避けやすいアウトドアレジャーの人気が高まっている。記者(43)が子どもの頃から楽しんできた「源流釣り」もその一つ。四国キッチンの番外編として、「渓流の女王」と呼ばれるアメゴ(アマゴ)を釣り、自宅で調理するまでを紹介したい。(田岡寛久)

番外編 アメゴの塩焼き

 今回のフィールドは、吉野川の支流・汗見川(約20キロ)の最上流域(高知県本山町)。

 アメゴやアユなどは、各河川の漁業協同組合が稚魚を放流して資源保護に努めており、釣り客は遊漁料を支払い、漁協発行の「遊漁承認証(遊漁券)」を所持しないといけない。

 嶺北漁協によると、吉野川の本支流はアメゴ、アユ、ウナギ、コイ、モクズガニが対象で、1年券は男性8000円、女性5000円、中学生以下は無料。魚種ごとに漁期も決まっている。

 高知県土佐町の実家から車を走らせること40分、午前9時頃、汗見川の源流付近に到着。胸まで水につかれる「ウエーダー」を着用し、早速、入渓した。辺りに人影はない。新緑からの木漏れ日、透き通った水が美しい。

 だが、まもなく川岸で人の足跡を見つけた。先客の証しだ。早朝か、前日か。アメゴは警戒心が強く、同じ場所で2匹以上釣れることはまずない。上流に釣り上がっていくのだが、先客がいた場合、岩穴などに潜んでしばらく出てこない。

 今さら帰るわけにもいかないので、川の中を歩き、上流へ進んだ。

 釣りざおは4メートル弱。仕掛けはシンプルで、細い糸に目印を付けて針を結び、「ガン玉」と呼ばれる小さなオモリを打った。餌は、実家の畑を掘り起こして見つけたミミズと、入渓後に捕まえた「瀬虫」と呼ばれる川虫だ。

 最初のポイントで川岸から釣り始めた。やはり、当たりはない。一つ上でもダメだった。「厳しい」。思わず声が漏れた。

 1時間ほど釣り上がり、焦りが出だした頃だった。小さな落ち込みに餌を投げ入れた瞬間、目印が走ったのと同時にさおを立てると、重量感が伝わってきた。そのまま引き抜くと、パーマークと朱点が鮮やかな15センチほどのアメゴ。小さいが、「まずは1匹」と一安心した。

 うまく仕掛けを流して食い気を誘う。小学1年生の頃、父親から手ほどきを受け、その駆け引きに魅了されてきた。

 気がつくと5時間が経過。結局、20センチ級までを8匹と物足りない釣果だったが、おいしい空気を吸い、運動不足の体にムチを打つ非日常に、心が洗われた。

 持ち帰ったアメゴの調理は簡単だ。ウロコを落とす必要はなく、包丁で腹を割いてはらわたを取り除き、塩を振って焼くだけ。小型は揚げて南蛮漬けにしたり、良型はホットプレートでみそを土手のように囲み、その内側で他の食材と焼く「土手焼き」にしたり。塩焼き以外も楽しめる。

 この日は塩焼き。滋味たっぷりの味わいは、淡泊ながらもどこか豊かな自然を思い返させてくれる。元来の酒好きで、その日の晩はいつも以上に焼酎が進んだ。

 もちろん、翌朝は両太ももの筋肉痛に襲われた。汗見川のアメゴの漁期は8月31日まで。渓流の女王との駆け引きをまた楽しみたい。心を躍らせながら、太ももをさすった。

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使い方
2053159 0 四国キッチン 2021/05/15 05:00:00 2021/05/15 05:00:00 2021/05/15 05:00:00 汗見川の源流域。山々に囲まれた支流を釣り上がっていく(高知県本山町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210514-OYTAI50024-T.jpg?type=thumbnail

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