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<中>非日常の世界 解説に熱

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魚類担当 坂口 夕貴さん 24

「水族館を大好きになってほしい」と解説に熱がこもる坂口さん(宇多津町で、撮影時のみマスクを外しています)
「水族館を大好きになってほしい」と解説に熱がこもる坂口さん(宇多津町で、撮影時のみマスクを外しています)
黒潮を再現した「綿津見の景」(宇多津町で)
黒潮を再現した「綿津見の景」(宇多津町で)
絵画に見立てた演出が施された水槽(宇多津町で)
絵画に見立てた演出が施された水槽(宇多津町で)

 高知県沖の黒潮を再現した「綿津見の景」。スマやマダラトビエイ、シロザメなどが泳ぐ館内最大の水槽に、餌のアジやイカを入れたかごがゆっくりと下りてくる。

 「大きな魚におなかいっぱいになってもらってから、小さい魚に餌をあげます」

 マイクを手に解説する魚類担当の坂口夕貴さん(24)は、魚の食事風景に目を輝かせる子どもたちを見つめ、昔を思い出した。

 物心ついた頃、高松市の自宅のリビングに置かれていた水槽を眺めるのが大好きだった。熱帯魚が泳ぎ、父親の餌やりを進んで手伝った。

 小学生になったある日、その水槽がなくなった。心にぽっかりと開いた穴を埋めてくれたのが、海遊館(大阪市)など家族で出かけた各地の水族館だ。魚と水槽に囲まれると、「ずっとここにいたい」と幸せを感じた。

 中学校に入っても気持ちは変わらず、卒業文集に記した夢は「水族館で飼育員の仕事がしたい」。

   ■  □

 高校時代、宇多津町に新しい水族館が建設されると知り、胸をときめかせた。数学や化学より国語が得意だったが、迷わず理系を選んだ。

 高知大理学部で魚類分類学を学び、標本と向き合う日々を送った。就職活動では、四国水族館は採用募集がなく、他の水族館もうまくいかないまま、4年生の9月を迎えた。「どこでもいい」と一般企業も考え始めた時、待ち望んでいた四国水族館の募集が始まった。

 面接では、魚の魅力をうまく語れなかったが、採用が決まった。それで気づいた。「自分は水族館という空間が大好きなんだ」。日常生活の延長でありながら、水中にいるかのような非日常の世界。「だから、ずっといたかったんだ」と。

   □  ■

 陽光をイメージした照明が「綿津見の景」に降り注ぐ。明かりを落とした館内を歩き、高さ約5・5メートル、幅約11メートルのアクリル板の前に立つと、深い海に潜っているような感覚になる。

 館内の水槽の周りには額縁があり、魚を絵画に見立てた演出が施されている。子どもたちに自然の魅力を伝え、大人にはゆったりとした時間を過ごしてもらう。「小さかった私を引きつけてやまなかった水族館の魅力が、ここに詰まっている」と感じる。

 大水槽の前で、「餌を食べさせたい魚に応じて、かごの高さを調整しています」と解説を続ける。「えっ、そうなんだ」と興味津々で聞き、アクリル板に顔を寄せる子どもたちを見るのがうれしい。

 同時に、決意を新たにする。「レイアウトや演出をもっと工夫し、『ずっとこの場所にいたい』と思わせたい」。そう、あの頃の自分のように。

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使い方
2163924 0 あつまれ水族館の仲間~四国水族館の1年~ 2021/06/29 05:00:00 2021/06/29 05:00:00 2021/06/29 05:00:00 「水族館を大好きになってほしい」と解説にも熱がこもる坂口さん(宇多津町で、撮影でマスクを外しています) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210629-OYTAI50005-T.jpg?type=thumbnail

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