<上>買い控え 将来への不安

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物価高

小麦価格の高騰による影響を受け、昨年末に値上げに踏み切った「さか枝うどん本店」(高松市で)
小麦価格の高騰による影響を受け、昨年末に値上げに踏み切った「さか枝うどん本店」(高松市で)

 「『うどんは安い』。そのイメージがなくなれば、客は減ってしまう」。県庁近くの人気店「さか枝うどん本店」の店主、坂枝繁さん(59)は嘆く。

磯崎さん「責任感新た」

 同店では昨年末、うどんを20円、天ぷらなどトッピングを10円値上げした。客1人の平均単価は500円近くになったという。

 値上げの理由は原材料費の高騰だ。輸入小麦の値上げで、小麦粉の仕入れ値は1キロあたり12円増。原油高も重なり、天ぷら油は1リットルで44円上がったという。

 農林水産省は今年3月、政府が輸入小麦を買い取って製粉業者に売る際の価格について、前期比で17・3%引き上げることを決定。価格上昇は今後も続く可能性がある。

 坂枝さんは安価な小麦粉への変更を検討するが、「コシがなくなり、舌触りも悪い。『安かろう悪かろう』では、お客は付いてこない」と頭を抱える。

   ■   □

 物価が急激に高くなっている背景には、円安や、原油価格の高騰に伴う輸送コストの増加、ロシアのウクライナ侵略がある。

 県によると、高松市の4月の消費者物価指数は前月比で0・4%上がり、昨年同月比でも2・3%上昇。県内を中心に展開するスーパーマーケット「新鮮市場きむら」では、野菜や肉、魚介類から菓子まで食料品が総じて値上げされた。

 1歳の息子を育てる同市のパート山下杏子さん(26)は、スーパーのチラシを見比べてできるだけ安売りする店を探すのが習慣。肉や魚は1円でも安い物を選ぶという。「子どもの将来のため、少しでもお金をためておきたいが、こうも物が高いと難しい」とこぼした。

 高松市は5月、野菜や肉の価格高騰を受け、一部の小中学校で緊急対策を実施。給食費を据え置く代わりにデザートの提供回数を減らしたり、おかずの牛肉は豚肉に替えたりした。

 市議会では、食材の値上げ分を補充するための補助金として、約1億2800万円を盛り込んだ一般会計補正予算が可決された。大西秀人市長は「物価高騰の影響を子どもたちに与えるわけにはいかない」と話した。

   □   ■

 値上げは食だけでなく、電気にも及ぶ。

 四国電力は5月末、工場やビル向けの電力を供給している法人に対し、8月から契約を見直し、事実上の値上げをする方針を明らかにした。

 四電はこれまで、3か月間の燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」を適用。燃料価格が高騰しても利用者の負担が増えないよう、一定価格を超えた分は四電が負担してきた。だが「異次元」(四電幹部)の高騰で、一定価格からの超過が続き、負担をやめた。4~8月の超過分は計約80億円になる見通しという。

 長井啓介社長は「経営努力ではいかんともしがたい。苦渋の決断だ」と述べた。

 止まらない物価上昇。どういった対策がなされるべきか。香川大の藤原敦志准教授(金融論)は「通常は物価が上がれば企業の利潤が増え、賃金が上がって景気が良くなる。だが人々は買い控えをしているのが現状」とし、「買い控えの背景には物価高だけでなく将来への不安がある。国民全員が将来に希望を持てる政策が必要だ」と指摘した。(山本貴大)

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