被災猫とのいとしい日々

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「いつかハットリくんと一緒に双葉町にも行ってみたい」と話す森さん(高松市で)
「いつかハットリくんと一緒に双葉町にも行ってみたい」と話す森さん(高松市で)

 ◇森さん 高松で写真展

 東日本大震災の後、福島県で保護された猫との暮らしを見つめた写真展「ハットリくん」が、高松市北浜町の書店「BOOK MARUTE」で開かれている。撮影したのは、横浜市の写真家森康志さん(38)。「かわいいだけじゃない、様々な表情からにじむ『命』を感じ取ってほしい」と話す。(伊藤孝則)

 ◇福島で保護 「表情からにじむ命 感じて」

 レンズに向けて猫パンチを繰り出す様子や、窓辺に座って雨を見つめる姿――。会場には森さんの愛猫ハットリくん(オス、推定6歳)の表情豊かな75点が並ぶ。森さんのすねを前脚で抱え込み、牙をむき出しにしてかみついている写真も印象的だ。

 「引き取ったばかりの頃は『野生』そのもの。まったく懐いてくれなかった」。森さんは優しいまなざしで振り返る。

 ハットリくんと出会ったのは2012年9月頃。被災地で保護された動物の引き取り手を募る東京での譲渡会だった。震災直後、森さんは被災地での泥かきに参加したが、混乱の中で十分に力になれなかったとの思いが残っていた。「猫1、2匹なら協力できる」と足を運んだ。

 会場で好みの黒猫を抱いた時だった。同じケージの布の中に白い子猫が隠れているのに気付いた。全てを拒絶するかのように両前脚で頭を抱え込んでいた。孤独に震える人を見たような気がして「この子にします」。思わず、そう告げていた。

 原発事故の影響で、今も全町避難が続く双葉町で保護され、忍者のように素早く逃げ回る姿からハットリくんと呼ばれていた。家に連れ帰っても、最初は物陰に隠れてばかり。だが、わが子をめでるようにカメラを向けながら、少しずつ距離を縮めた。

 人気アーティストのポートレートなどを手がけている森さん。「写真家として本当に世に出したいものは何か」をふと考えたとき、ハットリくんと過ごした6年で撮りためた3万カットを超えるフィルムが脳裏に浮かんだ。「被災地を追われた『生』を伝えることにもなるのでは」。そんな思いで写真を出版社に持ち込み、昨年10月に写真集を刊行。東京のほか、かつて写真の修業中に訪れて街の雰囲気が気に入った高松でも個展を開くことにした。

 「僕にとって写真は、愛するものを撮ること。いずれは別れることになるハットリくんを、精いっぱい愛し続けたい」とほほ笑んだ。

 11日まで(6日休み)。平日午後1~8時、土日祝日午前11時~午後8時(11日は午後5時まで)。入場無料。

424188 0 ニュース 2019/02/05 05:00:00 2019/02/05 05:00:00 2019/02/05 05:00:00 「いつかハットリくんと一緒に双葉町にも行ってみたい」と話す森さん(2日、高松市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190205-OYTNI50006-T.jpg?type=thumbnail

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