高松愛 絵本に詰める
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景色や方言 市民らに募り
高松市の魅力を詰め込んだ絵本「まちのえほん」を制作するプロジェクトが進められている。高松の景色や、何げなく使われている方言など、絵本の素材となる「原石」を市民らから募り、つなぎ合わせて1冊の絵本を作る。今月中には完成品がお披露目される予定で、制作者の大島亜佐子さんは「ぎゅっと詰まった高松の魅力を表現したい」と語る。(猪原章)

作家滞在型創作 2月披露へ
6日、高松市瓦町のホテル「WeBase高松」。大島さんが開いたワークショップで、親子連れら3組5人が15センチ四方のキャンバスに、布や糸などを組み合わせてイラストや柄を描く「縫い絵」で作品を作っていた。
参加者は、色とりどりのボタンや布を選び、「宇宙」や「海」などをテーマにした作品を完成させた。作品は絵本に収録される予定で、大島さんは「市民のみなさんと一緒に作ることに意味がある」と話す。
大島さんは静岡県出身で、武蔵野美術大で舞台美術を学んだ。広告会社での勤務を経て、2011年に独立し、作家活動を開始。「縫い絵」の手法を生み出した。
今回のプロジェクトは、アーティストを一定期間招き、滞在型の創作活動を支援して地域のにぎわいを創出する高松市の「高松アーティスト・イン・レジデンス」事業の一環。大島さんは、瀬戸内国際芸術祭などで高松を訪れたことがあり、「文化レベルが高く、このまちで創作活動をしたい」と同事業に応募した。「私が高松を離れても作品は残る」と、絵本で表現することにしたという。
大島さんは昨年12月から、インターネットなどで、市民らから、高松での何げない日常の光景や景色、方言、言い伝えなど、絵本で使える素材の募集を開始。これまでに200件以上が集まった。1月からは市内に滞在していて、絵本の制作に向け、写真撮影や素材探しをしている。大島さんは「まちがあって、すぐ海があり、少し電車で行くと山がある。小さな範囲にぎゅっと詰まっている」と高松の魅力を語る。
「ちょんまい」「なんがでっきょんな」――。市民らから寄せられた絵本の素材に一通り目を通したが、高松の気質が反映された方言などに魅力を感じたという。「布でストーリーをつむぐのが私のスタイル。ありのままの高松での時間を表現したい」と、2月中の絵本の完成に向けて意気込んでいる。
大島さんが滞在し、アトリエを開設するWeBase高松では、過去の作品が展示されていて、制作風景も見ることができるほか、13日にはワークショップが開かれる。問い合わせは市文化芸術振興課(087・839・2636)。