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邦坊画伯 マルチな活躍

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<善通寺>著名人取材記事や体験ルポ 多数初公開

 琴平町出身の画家・和田邦坊が戦前、未整理のまま残した膨大な新聞漫画や雑誌連載の切り抜きを展示する企画展が和田邦坊画業館(灸まん美術館、善通寺市)で開かれている。いずれも初公開。「時の人」にインタビューしたり、体験ルポに挑んだり、絵筆以外のマルチな活躍を伝えている。(浦西啓介)

赤い線で細かく修正した跡が残るカッパの板絵の下絵(善通寺市で)
赤い線で細かく修正した跡が残るカッパの板絵の下絵(善通寺市で)

■1年かけ整理

 邦坊は旧制高松中(現・県立高松高)を中退後、上京。1926年、東京日日新聞(現・毎日新聞)に入社し、風刺画や漫画で人気を集めた。その一方、複数の雑誌で連載を抱えるなど、「売れっ子画家」となった。

 邦坊は、自身が書いた新聞や雑誌の記事を切り抜いて残していた。ほとんどは茶封筒に無造作にしまわれ、92年から所蔵する灸まん美術館も手つかずだった。

 同館が昨春から1年かけて整理、調査し、640点を確認。今回の企画展「讃岐の画家、和田邦坊」では、その中から88点を公開した。

■渋沢栄一にも

 会場には、28年のアムステルダム五輪で日本人女性初のメダリストとなった人見絹枝、同郷の作家・菊池寛らへのインタビュー記事が並ぶ。

 このほか、「当代人気者漫画訪問記」(1931年)では、渋沢栄一にインタビューし、男尊女卑の風潮が根強い時代に「日本も今に男女同権になつて来なくては不可いけません」という言葉を引き出している。

 「高杉早苗と見合ひする記」(37年)は、「19歳の映画スターとのお見合い」という設定で人気女優にインタビュー。雑誌の担当者との軽妙なやりとりから書き起こし、読者を楽しませようと工夫を凝らしている。

 社交ダンスのレッスンに挑戦した「邦坊芸道修業 西洋舞踊の巻」(35年)や、様々な職業を体験する「邦坊人生突進記」など体を張ったルポも。着物で踊る写真などが掲載されている。

和田邦坊が自ら切り抜いていた新聞や雑誌の記事も初公開された(善通寺市で)
和田邦坊が自ら切り抜いていた新聞や雑誌の記事も初公開された(善通寺市で)

■商業デザイン

 体調不良で38年に帰郷した邦坊は戦後、県内の有名和菓子店の包装紙を多数手がけるなど、商業デザインの分野で活躍。調査した西谷美紀学芸員は「邦坊の文章や絵は、どうすれば読者をひきつけられるかを考えて書かれている。その経験が後年の商業デザインで生きたのでは」と指摘する。

 このほか、公益財団法人・喝破道場(高松市)に寄贈した2枚1組の板絵(それぞれ縦1・8メートル、横0・9メートル)は、初公開の下絵と並べて展示。長老のカッパが若者に説教する構図で、下絵には、くちばしや指先、脚の角度などを細かく修正した赤鉛筆の線が残る。

 西谷学芸員は「迷いのない、大胆な筆運びが邦坊の特徴だが、下絵からは、納得いくまで微調整を重ねていたことがわかる。一般的な邦坊のイメージと異なる姿を知ってもらいたい」と話す。

 7月25日まで。火、水曜休館。一般500円、65歳以上300円、大学生以下無料。問い合わせは灸まん美術館(0877・75・3000)へ。

<和田邦坊> 1899~1992年。戦前は時事漫画を中心に活躍し、料亭で明かりの代わりに、100円札を燃やす成り金を風刺した「成金栄華時代」が有名。ユーモア小説「ウチの女房にゃひげがある」は映画にもなった。戦後は「灸まん」「名物かまど」「ひょうげ豆」など数多くの包装紙をデザインした。

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2110577 0 ニュース 2021/06/09 05:00:00 2021/06/09 05:00:00 2021/06/09 05:00:00 赤い線で細かく修正した跡が残るカッパの板絵の下絵(善通寺市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210608-OYTNI50038-T.jpg?type=thumbnail

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