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おもちゃ美術館 25日オープン
県内の職人が手がけた玩具約5000点が展示される「讃岐おもちゃ美術館」(高松市大工町)が、25日にグランドオープンする。開館まで2週間となり、庵治石や漆芸の技法が使われた玩具が設置されるなど、急ピッチで準備が進んでいる。関係者は「遊びながら郷土の自然や伝統工芸を学べる場になれば」と期待する。(猪原章)

■子どもに喜びを
開館準備に奔走してきたのは、子育て支援などを行うNPO「わははネット」(高松市)理事長の中橋恵美子さん(53)。2017年の全国学力テストで、香川の子どもたちの自己肯定感が低いことを知り、「子どもが様々な人と関わり、認めてもらえる環境が必要」と考えた。
同じ頃、高松丸亀町商店街振興組合からオフィスの移転を打診された。引っ越し先のビルには空きスペースがある。「東京おもちゃ美術館のような内装にしたい」。中橋さんが新しいオフィスのイメージを伝えると、組合側から「高松でも作ってみては」と逆提案された。
その後、木の玩具などで遊べる「木育キャラバン」を、商店街で定期的に開催。外国人観光客や若いカップルも多く訪れ、子どもたちとけん玉を楽しむ姿を見て、「こんな場所があれば」と美術館設立を決意した。運営資金などに充てるため、クラウドファンディングを実施したり、玩具を作ってくれる職人を探したりと、準備に走り回った。
■「県産」に囲まれ
館内は、カフェやショップも入る約1100平方メートル。「花こう岩のダイヤモンド」と呼ばれる庵治石を使ったゆりかご、オリーブの木で作ったブロックなど、県の伝統工芸品や県産木材を使った玩具が置かれる予定だ。
県漆芸研究所(高松市)の生徒らが手がけた漆塗りのすべり台(高さ67センチ、長さ1メートル58)も設置される。紫や赤など5色の漆を重ねて塗ることで、使い込むほどに削れて色が変わる趣向を施した。子どもが触れる手すりや斜面には、塗り重ねた複数の色漆を彫り進めて文様を浮かび上がらせる「
発案した研究生の湊総子さん(25)は「自分のアイデアが形になるとは思わなかったが、多くの人に触れてもらえれば」と話す。実習指導員の辻孝史さん(48)も「最近は漆器に触れることが減り、美術品化している。日常的に触ることができる所に漆が使われていることに意味がある」と語る。
■スタッフも育成
玩具の紹介などには、研修を受けたボランティアスタッフ「おもちゃ学芸員」が携わる。19年から、遊びの紹介方法などを学ぶ養成講座を6回行い、男女約90人が活動する予定だ。
「設立準備の間、今まで知らなかったことを知ることができ、私も感動と発見の連続だった」と中橋さん。「自分がワクワクしたことを子どもに伝えることで、郷土への誇りや、ものづくりをしたいと思えるきっかけになればうれしい」と語る。
子ども700円、中学生以上900円。木曜と年末年始など休館。新型コロナウイルス対策で、午前10時と午後1時半の1日2部入れ替え制で、各回150人(要予約)。問い合わせは「わははネット」(087・822・5589)。