〈3〉去勢鶏肉深いうま味 技術習得 商品価値を向上

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シャポーン鹿児島鶏を手にする上山さん
シャポーン鹿児島鶏を手にする上山さん

 鹿屋市で育ったオスの地鶏「シャポーン鹿児島鶏」が、東京の高級ホテルや京都の料亭などに出荷され、人気を博している。成熟したオスの鶏肉はメスより肉が硬く、臭みが強いとされるが、特殊な技術を身につけ、メスに勝るとも劣らない肉質へと変化させたのが同市串良町の養鶏業、上山龍治さん(46)だ。

 シャポーン鹿児島鶏は、オスの精巣を取り除いた鶏のブランド名。去勢した鶏はフランス語で「シャポン」と呼ばれ、フランスでは煮込み料理などに使われる。上山さんは約4年かけて去勢技術を習得し、2006年頃から出荷を始めた。

 鶏は生後約5か月を過ぎると、繁殖に適した時期「性成熟」を迎えてうま味が増す。メスは肉が軟らかくなる一方、オスは肉が硬くなって臭みが出るほか、ケンカして傷つけ合うため、性成熟を迎える前に出荷したり、ひなの段階で処分したりするのが一般的だ。

 しかし、去勢することで鶏はメスらしくなり、深いうま味とコクが生まれる。また、卵に栄養分を取られない分、メスよりも肉質が良くなるという。

 これに着目したのが上山さんのおじで、元県立加世田常潤高校長の諸木逸郎さん(73)(大崎町)だった。諸木さんは東京農大に通っていた1966年、米国留学中に去勢鶏の存在を知る。国内で普及させたいと考え、教員としての仕事の傍ら、文献などを参考にしながら当時の生徒らと研究を進め、去勢技術を確立した。

 その後、農業団体などに技術を売り込んだが、相手にされなかった。父親からたまたまこの話を聞いた上山さんは、諸木さんの普及への強い思いを知り、「自分がやってみよう」と考えた。2002年頃、勤めていた運送会社を辞めて養鶏業に転身した。

 精巣の近くには太い血管が通っており、傷つけると死ぬ恐れがある。また、わずかでも取り残すと精巣は再生する。去勢技術は簡単ではなかった。

 上山さんは生後2、3か月の小さなオスから、大豆ほどの大きさの精巣を特殊な器具で摘出するという作業を続けた。「言葉に言い表せない感覚が必要」と言うほどの繊細さが求められる技術。睡眠時間を削りながら練習を重ね、素早く正確に除去できるようになるまで10年かかったという。

 その後も技術を磨き、1羽につき約10分要した作業時間を、今では1分未満に短縮。失敗する確率も50%から約2%にまで下げた。

 営業活動を始めた当初は、知名度の低さから苦戦の連続だったが、餌の配合割合を変えるなどして品質向上に力を注いだ。やがて、味の良さが口コミで広がり、都市圏を中心に注文が相次ぐようになった。

 16年には、日本航空国際線ファーストクラスの機内食に採用された。「認めてもらうには、いいものを作り続けるしかなかった」と言う上山さん。「『鹿児島と言えばシャポーン』と言われるよう、全国的なメジャー商品にしたい」と力を込めた。

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2070 0 かごしま発 2018/01/04 05:00:00 2018/01/04 05:00:00 「シャポーン鹿児島鶏」を手にする上山さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180105-OYTAI50033-1.jpg?type=thumbnail

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