奄美マングース捕獲ゼロ 18年4月から、目撃情報は続く
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奄美大島の希少動物を襲う特定外来生物マングースの防除事業を進めてきた環境省は10日、2018年4月から捕獲ゼロが続いていることを明らかにした。同省は「マングースが継続的に減少しており、生息数は極めて少ない」と分析。世界自然遺産登録を目指す奄美大島などでは、希少種の保護や外来種対策などが課題となっており、22年度末までの根絶に向け、確認作業を進める。
同省奄美野生生物保護センターによると、わなや探索犬での捕獲例がなかったほか、島内全域に設置した監視カメラ約400台にも映っておらず、生息が2年以上確認されていない。一方で、目撃情報の報告は続いており、昨年度は11件寄せられたという。
マングースは、南アジアに広く生息する哺乳類。奄美大島へは、1979年にハブを駆除する目的で約30匹が持ち込まれた。しかし、昼間に活動するマングースは夜行性のハブをうまく捕獲できず、国の特別天然記念物アマミノクロウサギやアマミトゲネズミなどの希少動物を捕食していることが分かった。ピーク時には約1万匹にまで増えたとみられる。
同省は、2000年度から本格的な防除事業を開始し、05年度には捕獲を担う専門チーム「奄美マングースバスターズ」を結成。捕獲数は、06年度に約2700匹に上ったが、07年度には1000匹を割り、14年度には100匹を下回った。
同センターの阿部慎太郎所長(56)は「完全排除に向けて大きく前進した」としたうえで、「島民やバスターズからの目撃情報もあり、生息している可能性も否定できない。情報収集を強化したい」と話している。