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瀬戸内町は役場敷地内に、様々な人が仕事場を共有するコワーキング施設を開設した。南国らしい開放的な雰囲気のオフィスで、海風を感じられるテラスもある。コロナ禍で注目を集めるワーケーションの利用増を目指している。
福祉センターの2階部分を、コロナ対策の地方創生臨時交付金4550万円を活用し、リノベーションした。屋内の64平方メートルには、リモート会議などで使える大型モニターを設営。未使用時は窓の景色を遮らないよう天井部分に格納できる。ミーティング用の大きめのテーブルに加え、仕切り板で囲える個人用の机もあり、立っても座っても使えるよう昇降機能が付いている。
個室のような1人用のブースが3基あり、集中したいときや、声や音を聞かれたくないときなどに役立つ。ウェブカメラや卓上スピーカー、Wi―Fi(ワイファイ)、プリンターなどを常備。カフェカウンターには無料のコーヒーやお茶が用意されている。
テラス部分(64平方メートル)にはソファやパラソルを置き、南国の光や風を感じながら仕事や会議ができるスペースを確保した。屋内とともに床は板張りで、人に優しい造りになっている。
登録すれば24時間、年中無休で利用できる。料金は企業会員が年間7万2000円で、1社につき3人の利用が可能。個人会員は月額1万2000円。1日のみの利用は1200円。運営は町内の民間会社「BLUE School Design」に委託している。
企業会員を5年間継続すると、町が50万円を補助する誘致策も導入。東京の企業や研究機関などから問い合わせがあり、町は滞在や飲食などの施設整備にも力を入れている。
奄美大島南端の瀬戸内町では、ホエールウォッチングやスキューバダイビングなど海のレジャーが充実しており、余暇も楽しめそうだ。同町企画課の中島淳弥係長は「多様な職種の人たちにワーケーションで利用してもらいたい」と話す。
<ワーケーション> ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語。コロナ禍で浸透したテレワークの一種で、仕事場を自宅からリゾート地や観光地に広げた。地方創生の観点からも注目されている。
◆海峡経て加計呂麻島へ
瀬戸内町は海峡を有する珍しい町で、役場近くの古仁屋港から大島海峡を経て加計呂麻島まで渡船で約20分。離島でありながら、変化に富んだワーケーションライフを堪能できる。
並木のそばには映画「男はつらいよ~寅次郎紅の花」のロケ地となった「リリーの家」がある。寅さんが最愛のリリーと一時を過ごした家で、今は宿泊施設として利用されている。
近くにはロケ記念地の碑もあり、セリフと山田洋次監督の一文が刻まれている。旅をしながら商売をしていた寅さんはワーケーションを先取りしていたとも言える。映画の寅さんは奄美の島唄にすっかり魅了されていた。