「国が思い切った施策を」

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

浮津集落の空き家を見つめる浮津さん(南大隅町で)
浮津集落の空き家を見つめる浮津さん(南大隅町で)

 ◆参院選 浮揚を探る<上> 人口減少

戦い終えて 下

「人の住む家より、空き家が多くなった。若者は誰も帰って来ないよ」

 九州本土の最南端・南大隅町の浮津集落。山肌から伸びる草木に覆われた空き家を見つめながら、自治会長の団体職員、浮津真澄さん(64)は表情を曇らせた。

 町中心部から佐多岬方面に車で約20分の錦江湾沿いに広がる同集落。かつては70人近くが暮らしたが、残る住民は7人だけだ。集落の一番の若手として自治会長となり、草刈りや清掃、見回りなどに奮闘する浮津さん。「せめて働く場でもあれば、若者を呼び戻せるのだが……」と嘆く。

 南大隅町は、県内でも高齢化と人口減少が最も進んだ自治体の一つだ。人口は2005年の合併時の9897人から、20年には6481人に減少。高齢化率の49・3%、人口減少率(2015~20年)の14・1%は県内で最も高い。

 働く場だけでなく、小学校は統廃合で消え、簡易郵便局ですら閉鎖された地域もある。不便な生活環境が、人口流出に拍車をかける悪循環が続く。

 人口減少は県内全域でも進む。国勢調査によると、県内の人口のピークは、1955年の204万人。2020年には初めて160万人台を割り込み、過去最少の158万人となった。

 15年の前回調査と比べた減少率3・6%は全国で12番目に高い。県内43市町村のうち、41市町村で人口が減り、増えたのは姶良市と龍郷町だけだ。

 国立社会保障・人口問題研究所などの分析では、2060年には、県内人口が100万人を下回るという推計もある。

 人口減少をいかに食い止めるか――。生き残りをかけた競争に、県や各市町村は挑み続けている。

 県が開設した「かごしま移住・交流ウェブサイト」。各市町村の移住支援策をまとめた資料はA4換算で120ページを超え、自治体間競争の激しさをうかがわせる。

 県によると、アクセスは年間約3万5000件。県内への移住者は増加傾向にあり、21年度は2000人に上った。

 このサイトにも支援策を掲載している大隅地域の拠点・鹿屋市。初めて人口が10万人を割り込んだ4月、庁内に人口減少対策本部を設け、これまで取り組んだ移住・定住策の効果や周辺自治体との連携の必要性などの検証を始めた。

 中西茂市長は「移住・定住の支援策を自治体間で競い合っても、人口減少のスピードを速めるか、鈍らせるかの違いしか生まないという厳しい意見もある」と打ち明ける。そのうえで「市町村単位でできることには限界がある。広域的な視点で対策を練りたい」と語る。

 大隅地域のある自治体幹部は「人口減少対策に国も力を入れてきたが、効果を上げているとはいえない」と指摘。「地方が首都圏に人材を供出する時代は終わった。難題の解決に向け、国が、これからの国のかたち、地方との関係を見直し、思い切った施策を講じるべきだ」と話す。

 参院選鹿児島選挙区(改選定数1)の各候補者は7月10日の投票に向け、それぞれの政策を訴えている。鹿児島の浮揚のために何が必要か。課題を探った。

【リアルタイム更新中】参院選 開票速報
参院選 鹿児島選挙速報・開票結果【随時更新】
スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
3121878 0 ニュース 2022/06/29 05:00:00 2022/06/29 05:00:00 2022/06/29 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220628-OYTNI50035-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)