野毛大道芸との歩み 横浜 まちの生い立ち1冊に

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文庫本を手に、「コロナにも野毛は負けない」と語る平出さん(左)と福田さん(横浜市中区野毛町で)
文庫本を手に、「コロナにも野毛は負けない」と語る平出さん(左)と福田さん(横浜市中区野毛町で)

 戦後の闇市から始まり、今では600店以上の飲食店が連なる横浜市中区の野毛地区。その歩みをふり返る文庫本「横浜野毛 闇市から大道芸のまちへ」ができた。手のひらサイズで100ページ余り、税込み330円。編集した「野毛地区街づくり会」の役員らは「安飯と安酒の街・野毛らしく、チープでコンパクト」とPRしている。(白井亨佳)

 戦後の横浜には約10万人の米兵らが進駐したとされる。焼け残ったビルはオフィスとして接収され、焼け野原に兵舎が急造された。はじき出された日本人らの居場所、それが野毛だった。船荷の積み下ろしや復旧工事の日雇い仕事でしのぐ「風太郎ぷうたろう」たちは仕事に就ければ日給で一杯、あぶれればヤケ酒を一杯。「野毛には自然に彼らの需要に応える屋台の店が増えていった」――。

 本は冒頭、野毛の“誕生”をこうした調子で紹介し、街の歴史を時系列でつづっていく構成だ。歯切れの良い文章の執筆やカバー画は、野毛を愛する常連の元記者や美術家らが手がけたという。

 タイトルにも登場する「野毛大道芸」は、国内外の大道芸人が妙技を披露する横浜の名物。露店の撤去などで停滞した街をなんとか盛り上げようと、1980年代にごく小規模で始まり、次第に成長していった。野毛は2004年、東急東横線の横浜―桜木町駅間の廃線に伴い、6割の店が閉店する危機に陥った。家賃が下がった空き店舗に若い店主らが進出して若者客を呼び込み、息を吹き返すが、その間も、大道芸が街を支え続けていた。「先住民」にとってはかけがえのない存在だ。

 ただ近年、新しいマンションが増えるにつれて、大道芸に対して「子供が眠れない」といった苦情が相次ぐようになった。そこで、街づくり会会長の平出揚治さん(79)が「新しい住民にも歴史を知ってもらい、野毛の仲間に加わってもらおう」と提案。本の製作が決まったという。

 昨年来のコロナ禍で、野毛も苦しんでいる。客足が減り、休業している店も多いが、街づくり会役員の福田豊さん(80)は「野毛はめげない、こりない、あきらめない。コロナ禍でも同じ」と力を込める。平出さんも「根性のある店主たちの復活を信じる」と話している。

 本は、ハーモニカ横丁近くの街づくり会か、有隣堂伊勢佐木町本店で購入できる。

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2053188 0 ニュース 2021/05/15 05:00:00 2021/05/15 05:00:00 2021/05/15 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210514-OYTNI50026-T.jpg?type=thumbnail

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