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大和市を舞台にしたオムニバス映画「MADE IN YAMATO」が製作され、28日から横浜市中区の「横浜シネマリン」など全国で順次上映される。発起人となった大和市在住で映画監督の宮崎大祐さん(42)は「この作品をきっかけに、大和を映画の街として盛り上げたい」と意気込んでいる。
■コロナ禍に発案 製作されたのは、5人の監督によるそれぞれ短編映画で「あの日、この日、その日」「四つ目の眼」「まき絵の冒険」「エリちゃんとクミちゃんの長く平凡な一日」「三月の光」。計120分の作品にテーマや内容のつながりはないが、舞台となる市役所や喫茶店、運動場、公園などすべてが大和市内だ。
宮崎さんは、市イベント観光協会が毎年開いている「夏休みこども映画教室」の講師を務めていた。子どもたちが3日間かけて、企画、撮影、上映会まで挑戦したが、2020年からは新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった。そこで「何か別なことをできないか」と同協会や4人の監督仲間に提案し、昨春から半年ほどかけて映画製作に取り組んだ。
■世界との共通点 大和市で生まれ育った宮崎さんはもともと、「何もない場所で映画が撮れるわけがない」と、地元に対してコンプレックスがあったという。だが、この10年ほどで海外50か国近くを渡り歩くなか、首都以外はどこも同じ景色に映ったという。
「『何もない』という共通点で、世界とつながれるのではないか」という考えと不安を抱えながら大和市で撮影すると、市街地に自然もあり、東京都内からの交通の便もいい。「見方を変えれば、いくらでも撮れるものがあるということに気づいた」
16年には、大和市を舞台にした「大和(カリフォルニア)」を撮影。約20か所の国際映画祭で上映され、海外のファンが大和を訪れるまでになった。地元の魅力を改めて知ったという宮崎さんは「大和はどこにでもあるような街だが、多くの街につながっている」。今後も撮影を通して発信していくつもりだ。