介護の現場希望見つめて

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 今週もテーマは介護です。先週は、施設利用者の家族が施設側の対応に抱いた不満などを紹介しましたが、本日は逆に、施設で働く人々の思いをお届けします。

 関西地方の介護福祉士の女性(47)は、これまで複数の介護施設で勤務してきました。

 〈認知症は穏やかな方も変えてしまいます。以前、施設の利用者で常に気配りでき、職員にも慕われる女性がいました。その方が認知症になると暴力を振るい始め、私も介助中、体をつねられ、爪をたてられ、今も傷痕が残っています。先日は男性利用者から胸部を強打され、受診すると肋軟骨ろくなんこつ骨折でした。私たちは常に『利用者の安全第一』を求められ、介助中に身に危険が及んでも耐えます。かまれても引っかかれても、です〉

 手紙はさらに続きます。

 〈介護職員の虐待は許されません。でも介護職員が利用者から受ける暴力(セクハラ含む)は闇に葬られている現実もあります〉

 兵庫県の介護福祉士の女性(40)は〈本人の認知症の程度の受け止めが家族と施設側で差があり、近くであまり関わっていない家族ほど『まだしっかりしてます!』と言われます〉と嘆いています。

 介護施設で管理職の立場にある女性(49)は、現場の厳しい実情を報告しました。

 〈本当に職員が足りません。次から次に人が変わります。10年少し働いて私が一番の古株です。入浴や食事の介助、トイレの付き添い、ノート記入などに追われ、大切なコミュニケーションは後回し。認知症の方への細かいケアをするには現状の職員配置では全く足りません。国がつくった介護保険制度なので責任もって給料面、将来性のサポートをしてほしいです〉

 悲壮な声の数々に、本当にこの国の介護の未来は大丈夫かと不安になりました。

 一方で現状の厳しさを記した便りの多くに「1日でも1回でも笑顔になって、と奮闘する職員もいます」といった訴えや介護の醍醐だいご味も記されていました。施設勤務5年という女性(38)の声を右代表で。

 〈介護は奥深い。いつ声をかけても話さない人が『ありがとう』と一言発してくれる日があります。そんな変化や信頼される事にやりがいを感じます。声が出ない人も嫌いな食べ物には首をふり、うれしい時は満面の笑み。全身で意思表示してくれます〉

 最後にこんな抱負も。

 〈介護で一番大切なのはコミュニケーションだと思います。人と人とのつながりから安心感や信頼関係は生まれます。利用者の意思をくみ取り、家族、地域、施設みんなで協力して、高齢化社会を乗り切っていきたいです〉

 希望は、ある。そう感じさせる力強い決意でした。(祝迫博)

471015 1 読者と記者の日曜便 2019/03/03 05:00:00 2019/03/03 05:00:00 2019/03/03 05:00:00

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