法人統合 工学部設置を

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法人統合について意見を交わす今岡春樹・奈良女子大学長(右)と加藤久雄・奈良教育大学長(10月下旬、奈良市で)=川崎公太撮影
法人統合について意見を交わす今岡春樹・奈良女子大学長(右)と加藤久雄・奈良教育大学長(10月下旬、奈良市で)=川崎公太撮影

 少子化が進む中、国立大を運営する法人を統合して「1法人複数大学制」を可能にするなど、大学の新たな連携・統合策が国で検討されている。2022年度めどの運営法人の統合に向けた協議をする奈良女子大の今岡春樹学長と奈良教育大の加藤久雄学長に、「1法人2大学」を目指す理由と課題を聞いた。(編集委員 沢田泰子)

 

 ――なぜ法人統合を目指すことにしたのか。

 加藤 奈良教育大のような国立の教員養成単科大は、県内や近隣の総合大、または複数の教育大との統合で機能強化と効率化を図るよう、文部科学省の有識者会議による昨夏の報告書で示された。学生のためには、教育と研究の機能強化が最も重要だ。県内にあるもう一つの国立大の奈良女子大となら、奈良の地の教育を一緒に良くしていけると考えた。

 今岡 奈良女子大の特徴は、お茶の水と並ぶ国内で二つしかない国立の女子大ということと、奈良にあること。広域ではなく、日本人の心のふるさとの奈良を大切にする子どもを育てる教員を奈良で養成するべきだ。大学そのものの合併は女子大の特徴を失うので不可能だが、1法人2大学なら互いの特徴を伸ばし、プラスになることもできる。

 ――具体的にはどのような計画か。

 今岡 奈良教育大とともに女子対象の工学系共同教育課程を設け、いずれは工学部としたい。機械、電気など縦割りの学科ではなく、リベラルアーツと工学の基礎を学んだ上で専門に進む新しいカリキュラムを検討中だ。大学の工学部に女子が少ないのは日本の課題で、工学部設置の必要性を感じてきた。創造性や主体性を身につけ、ものづくりを通じて世の中を変える女性を社会に送り出す。

 加藤 新しい工学人材の育成には文理融合の学びが求められ、国語や理科など多様な教科教育を行っている教育大の蓄積を生かすことができる。また、教員養成については、両大学のスタッフで連携することで、効率化も図れる。1、2年生対象の教養教育も共同実施を目指しており、まずは来年度に、新しい共通の科目「奈良と教育」を始める予定だ。

 ――今後の課題は。

 加藤 奈良教育大は共学なので、女子対象の課程には異論もあるだろうが、女子の工学人材が少ない現状では必要だ。少子化による法人統合という後ろ向きの発想ではなく、1足す1が2にとどまらず3になるような統合にし、奈良の地で「学問の府」を創る。

 今岡 奈良先端科学技術大学院大と奈良工業高等専門学校、奈良文化財研究所、奈良国立博物館とも連携し、奈良の高等教育機関を総合化した「奈良カレッジズ」を創り出す構想を立てている。大きな夢を、新しい法人が核になって実現したい。

 

 

 ◇いまおか・はるき 1952年島根県生まれ。東京工業大大学院修了。90年奈良女子大家政学部助教授、2001年同生活環境学部教授。13年から同学長。専門はアパレル工学。

 

 ◇かとう・ひさお 1954年名古屋市生まれ。東京都立大大学院修了。80年和歌山大助手、99年奈良教育大教育学部教授。2015年から同学長。専門は日本語学。

(敬称略)

 

 ◇1法人複数大学 2020年度導入へ

 国立大の1法人複数大学制は、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の部会が6月にまとめた中間報告案で提案された。

 公立大や私立大の運営法人は複数の大学を経営する例があるが、国立大は国立大学法人法で1法人の経営が1大学に限られている。文科省は法改正などを経て、2020年度に新制度の導入を目指している。こうした動きを踏まえて、東海、静岡、北海道、奈良の4地域で国立大学法人の統合が検討中だ。

 

 

 

小林塾長のあいさつを聞く塾生ら
小林塾長のあいさつを聞く塾生ら

 ■阪大などが「適塾」

 大阪大が京都大などと連携して小中学生を教える「めばえ適塾」が10月21日、大阪市北区の阪大中之島センターで開塾した。応募者から選抜された小学5年~中学3年の約40人が参加した。

 両大学と関西大の教員や、NPO法人「知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん」が、大学の施設を使って実験や統計処理の基礎を教える。国立研究開発法人・科学技術振興機構のジュニアドクター育成塾に採択され、年1000万円の支援を受ける。参加費は無料。

 阪大理事・副学長の小林傳司(ただし)塾長が「数字で結果を把握し、それをどう使うかまで考えるのがとても大事。ぜひ楽しみながら、おもしろいものを見つけてほしい」とあいさつ。めばえ適塾を中心になって企画した中野貴志・阪大核物理研究センター長は「研究者はみんながわかっていることを、なぜ、と思う人たち。ここでいろいろな人と出会ってほしい」と語りかけた。

 塾生は今月中旬から京大でサイエンス体験教室や統計教室に参加したり、阪大で高校生と一緒に講義を聴いたりする。小学6年の豊倉愛子さん(12)(京都府)は「どんな勉強をするのか楽しみ」と話していた。

 

 

◎「月刊大学」は原則毎月第2木曜日に掲載します。ご意見や、大学の話題をお寄せください。〒530・8551読売新聞大阪本社生活教育部(ファクス06・6365・7521、メールo-kyouiku@yomiuri.com)へ。

49630 0 月刊大学 2018/11/08 15:00:00 2018/11/08 15:00:00 2018/11/08 15:00:00 若草山を背に、法人統合で目指す大学像について意見を交わす、奈良女子大学の今岡春樹学長(右)と奈良教育大の加藤久雄学長(22日、奈良市で)=川崎公太撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181114-OYTAI50010-T.jpg?type=thumbnail

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