新型コロナ キャンパス一変

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 いつもの4月なら、希望を胸に入学した1年生であふれるキャンパスが、今春は一変した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、多くの大学で式典が中止になり、学生の立ち入りが制限されている。新入生はどのような心構えで大学生活に臨めばいいのか。今春就任した植木朝子(ともこ)・同志社大学長(53)に14日、電話で聞いた。(編集委員 沢田泰子)

新入生へのメッセージを述べる植木学長。キャンパス内の礼拝堂で撮影された(同志社大提供)
新入生へのメッセージを述べる植木学長。キャンパス内の礼拝堂で撮影された(同志社大提供)

 ◇独創性生む準備/読書で知識吸収を

 ――新入生にはまだ会えていないのですよね。

 「1日に予定していた入学式を中止し、5月11日まで学生がキャンパスに入ることを禁止しています。新入生は先生とも友人とも出会えておらず、胸が痛みます。学生のいない大学はがらんとしていて、本当に寂しいです」

 ――今後の予定は。

 「12日以降は通常の授業をできればと考えていたのですが、感染の広がりから、それも難しいと判断しました。春学期は7月下旬まで原則、ネット配信など非対面形式で授業をします。大学全体で今、その準備を進めています。学生にはしばらく自宅で頑張ってもらいたいです」

 ――新入生は何から取り組めばいいですか。

 「知識がないと独創性も生まれません。自分の論を組み立てていく前の準備期間ととらえ、電子書籍などを活用して幅広い分野の本をたくさん読んでほしい。授業で指定された教科書の郵送も始めたので、知識を吸収してもらいたい。大学に通えないというマイナスをプラスに変えてくれれば」

 ――4年間の大学生活はどのように過ごしてほしいですか。

 「大学は、与えられた課題の唯一の正解を教えてもらうところではありません。自ら課題を設定して、その答えにいたる多様な道を発見してほしいですね。これが常識だからと思考を停止せず、本当にこれでいいのかと自分に厳しく問いかけ、良心に従って生きる人になってほしいと思っています」

 ――全国の大学で女性学長がまだ少ない中、伝えたいことは。

 「性別に限らず、均質な集団はもろい。同じような境遇の人だけが集まっていると、ものの見方が偏り、社会は変化しているのに対応できないことがあるからです。女性学長の存在によって、多様な個人が尊重される大学だということが学生に伝わればいいと思っています。他者に寛容な雰囲気をもつ大学でありたいです」

 

 【うえき・ともこ】 1967年生まれ。お茶の水女子大卒。2005年に同志社大文学部助教授、07年同教授。学部長、副学長を経て20年4月から現職。女性の学長は同大で初めて。専門は日本の中世歌謡・芸能。

 

 

 ◇入学式の代わりに

 各大学は入学式の代わりに、学長がメッセージを語る動画をホームページ(HP)で公開するなどして、大学で学ぶ意義を新入生に説いた。

 立命館大は、新入生約8000人とその家族が参加する予定だった入学式を中止し、HPに入学式特別サイトを開設。式服姿の仲谷善雄学長が「大学は社会が抱える課題を明らかにし、それらの解決に積極的に貢献する存在。自分と社会との関係を考えてみてください」と述べる動画などを掲載した。

 式で新入生を代表してあいさつする予定だった法学部1年和田和己さん(19)は「サイトを見て、気にかけてくれていることがわかり、気持ちを新たにスタートを切ろう、と思った。授業がしばらくなく、友達ができる機会が減ったのは悲しいが、臨機応変に学ぶ力をつける時期と考え、第2外国語や法学の勉強を自主的にしている」と話す。

新入生のいないホールで式辞を述べる越智学長(広島大提供)
新入生のいないホールで式辞を述べる越智学長(広島大提供)

 広島大は、越智光夫学長が理事らとホール壇上に並び、入学許可を宣言する動画を公開。越智学長は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を挙げ、「予想もできないグローバルな危機が待ち受けています。大学での学びの要諦は、挑戦し、『問い』を的確に立て、創造的で自由な精神を発揮して、解決する道を探ることにあるといえます」と語った。

 学長が式辞を述べる様子やキャンパスを紹介する「新聞」を作成したのは、大阪市立大。HPからダウンロードでき、動画も視聴できる。荒川哲男学長は「自粛の期間を無駄に過ごしてほしくはありません。ピンチをチャンスに生かす方法を考えて」と呼び掛けた。

 

 

 ◇先輩たちも工夫 

 新しい分野への関心を持ってもらおうと、先輩たちも工夫を凝らしている。

 ▽世界の課題

 関西大は、国連が2030年までに世界での実現を目指すSDGs(エスディージーズ)(持続可能な開発目標)について説明する冊子=写真=を、4月初めの学部ごとのオリエンテーションで新入生に配布。商学部の岡照二教授(39)のゼミ生6人が「1年生にもわかりやすいものを」と話し合いながら作った。ごみの分別など自分たちができることをイラストを添えて紹介。3年浅田愛梨さん(20)は「未来の世界を守っていくのに必要なこと。目標達成に向けた活動を一緒に進めてほしい」と期待する。

 ▽オンライン新歓

 大阪大では11日に予定していたサークルなど約200団体による説明会が中止になり、大学祭中央実行委員会の呼び掛けでオンライン上で実施された。阪大男声合唱団内務部長で、経済学部3年の清水達彦さん(21)は「いつもは入学式で歌うが、今年は式がなくなった。4パートが重なって迫力のある合唱になることや、話しやすい雰囲気を知ってもらえたら」と願う。実行委の委員長で、人間科学部3年の大谷真寛(まひろ)さん(20)は「新入生は友達もいなくて不安だろう。高校までにない課外活動もある。幅広い面白さを伝えたい」と話す。

 

 

 

 

 ◆薬物防止 4校が報告書

 関西、関西学院、同志社、立命館の私立4大学による薬物乱用防止の10年間の取り組みをまとめた報告書が発行された。2009年度から新入生を対象に実施している「薬物に関する意識調査」への回答作業が抑止力になっているとして、今後も継続するとした。

 学生の逮捕が相次いだことを受け、同年に「関西四大学薬物乱用防止連絡会」を設置し、啓発活動を続けてきた。報告書は09~18年度の調査から、脱法ハーブなどの危険ドラッグの認知度が上がっていることや、インターネットの普及で入手が容易になっている実情を記した。分析結果を学生支援に役立てたいという。

 

 

 ◆留学や語学 部署一元化

 近畿大は1日、学内の留学や語学教育などに関わる部門を一元化した「グローバルエデュケーションセンター」を開設した。一体となって取り組むことにより、大学の国際化を機能的に進める。

 留学事務などを担うインターナショナルセンターと、教育を担当する語学教育センターなど4部門を統一。留学と語学教育に連続性を持たせるなどの効果が期待される。担当者は「素早い対応ができ、学部との連携も取りやすく、国際化を進めやすい」としている。新型コロナウイルスの影響で、近大は5月6日まで学生の立ち入りを禁止しており、センターは電話やメールなどで対応している。

 

 

 

 ◎「月刊大学」は原則毎月第4木曜日に掲載します。ご意見や、大学の話題をお寄せください。〒530・8551読売新聞大阪本社生活教育部(ファクス06・6365・7521、メールo-kyouiku@yomiuri.com)へ。

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1213852 0 月刊大学 2020/05/11 17:51:00 2020/05/11 17:51:00 2020/05/11 17:51:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200511-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

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