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【New門@兵庫】丹波焼 作陶の技紡いで800年

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さまざまな形の作品が並ぶ丹波焼の窯元(丹波篠山市今田町上立杭で)
さまざまな形の作品が並ぶ丹波焼の窯元(丹波篠山市今田町上立杭で)

 低い山々に囲まれた谷あいの山裾に登り窯が点在し、60ほどの窯元が作陶を続ける丹波篠山市今田町こんだちょう立杭たちくい地区。ここを中心とした一帯で歴史を紡いできた丹波焼の起源は800年以上前、平安時代にさかのぼる。土肌を生かした独特の風合いや味わいは、どのようにして生まれるのか。たくみが織りなす技と伝統が息づく<やきものの里>を訪ねた。(中野真一)

人々の生活支え

 丹波焼の起源は窯跡や陶片の調査から、12世紀後半の平安時代末~鎌倉時代初めごろとされる。常滑とこなめ焼など、焼き物の先進地だった東海地方の技術を導入して生まれた。

 半地下式の穴窯で焼き、つぼかめり鉢などが主だったが、そのころはまだ丹波国と北播磨地域に流通が限られていた。

 「丹波焼」の呼称が確認できる最も古い文献は江戸時代の初め。織田信長の弟・有楽斎うらくさいによる茶の湯の記録「有楽亭茶湯日記」に「茶入 丹波焼肩つき」として登場する。

 しかし、丹波焼は茶器としてよりも、もっぱら「生活用品」として生産されていった。江戸時代後期には、多種多様な色と形で作り手の「遊び心」も感じさせる、いくつもの徳利とっくりが作られた。

 匠がこしらえた逸品は加古川の舟運で高砂から播磨灘、兵庫津に運ばれ、そして京や大坂へ。さらには海路に乗って、すでに大消費地に成長しつつあった江戸にまでその販路を広げていった。

 丹波焼に加えて、同じように中世から現在まで続く常滑焼、瀬戸焼(いずれも愛知県)、信楽しがらき焼(滋賀県)、越前焼(福井県)、備前焼(岡山県)の産地は「日本六古窯」と呼ばれる。

 どれも良質の土に恵まれ、陶工たちが人々の生活を支える焼き物を脈々と手がけてきたとして、2017年に日本遺産に認定された。

山の斜面はう窯

 陶工たちの仕事場に大きな変革がやってきたのは江戸時代初め。登り窯とロクロの出現だった。

 丹波焼の代名詞でもあり、「蛇窯じゃがま」とも呼ばれる登り窯は、その名の通り、山の斜面をはってヘビのように細長く伸び、「まくら」と呼ばれる日干しれんがを積み重ねて築かれている。

 1895年に築かれ、丹波焼で最も古く、県の有形民俗文化財にも指定されている登り窯が2015年に修復された。全長47メートル。阪神大震災で損傷したままだったが、地元で丹波焼の名品などを収蔵する兵庫陶芸美術館が「最古の登窯復興と丹波焼の里活性化推進プロジェクト」として企画し、ボランティアや窯元らが約2000個の「まくら」づくりに取り組んだ。

 電気やガスを使う窯が主流となる中、登り窯を築くのは多くの若手陶工にとっては初めての経験だったが、伝統的な築窯の技術を次の世代へと引き継ぐという「成果」にもつながった。

左回転のロクロ

 徳利やおけなど、器種の多様化につながったロクロの登場も、登り窯とともに丹波焼の作り方を変えた。初めは、陶工が足の力で回して回転力を持続させる「蹴りロクロ」だった。

登り窯での焼成作業=兵庫陶芸美術館提供
登り窯での焼成作業=兵庫陶芸美術館提供

 丹波焼のロクロは朝鮮半島系の左回転(反時計回り)。回転の向きが異なると、粘土に添える手が反対になるため、かつては「丹波は左やから変えろ」と直されたことも。その後、若い陶工らが各地の専門校や大学で陶芸を学ぶことが増え、今は右回転で使う人も多い。

 登り窯とロクロ。技術を活用することで陶工たちは、それまでの素朴で飾り気のないものから、釉薬ゆうやくを施し、文様をあしらったものを生み出すようになり、器の種類も徳利や皿、花器や水差しなどのバリエーションを生んだ。

 兵庫陶芸美術館の萩原英子・学芸員は「都市の需要に応じて、時代ごとに陶工が新しい技術を取り入れながら多彩な品を作り続けてきた。その柔軟性こそが丹波焼の特徴」と言う。

 

 丹波焼 かつては「立杭焼」「小野原焼」とも呼ばれていたが、窯元でつくる丹波立杭陶磁器協同組合が2018年、「丹波焼」を商標登録してブランドの統一を図っている。1978年には国の伝統的工芸品に指定された。組合が運営する「立杭 すえさと」には、窯元の作品を展示販売する「窯元横丁」や訪れた人が楽しめる陶芸教室などがある。

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2118674 0 New門@関西 2021/06/12 05:00:00 2021/06/12 05:00:00 さまざまな形の作品が並ぶ丹波焼(丹波篠山市今田町上立杭で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210611-OYTAI50014-T.jpg?type=thumbnail

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