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【New門@広島】生まれ変わる 市民の天守

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「令和の大普請」による大改修が始まった福山城天守。現在は工事の足場で覆われている=2020年10月撮影
「令和の大普請」による大改修が始まった福山城天守。現在は工事の足場で覆われている=2020年10月撮影

 徳川家康のいとこで初代福山藩主の水野勝成が、1622年に福山城(福山市)を築いてから来年で400年となる。福山市は「令和の大普請」と銘打ち、1966年に再建された天守など4施設の大規模改修を進めている。市のシンボルが生まれ変わるのを前に、城を中心に発展した地域と文化に注目した。

水陸の要衝

 JR福山駅北口を出ると目の前に大きな石垣がそびえる。石垣の上には壮麗なやぐらと門を構え、奥に進むと工事の足場で覆われた天守が悠然と控えている。

 築城当時、周辺は芦田川が瀬戸内海に注ぐデルタ地帯。北方には古代から続く山陽道が通り、水陸の要衝だった。

 城は小高い山に築かれ、周辺は「福山」と名が付いた。東西約650メートル、南北約700メートルに及ぶ二重の堀で囲まれ、屋根が五重の天守を持つ本丸や二之丸に大小の櫓を巡らせた。10万石の大名としては破格の規模だった。海岸線が近い城の南で埋め立てを繰り返し、徐々に城下町が広がっていった。

 鐘尾光世・元福山城博物館長(77)(日本近世史)は「江戸幕府が西国支配の拠点とし、九州や中四国の外様大名に権威を示すため、ひときわ立派に整備した」と解説する。

 城は、水野、松平、阿部家の歴代藩主に受け継がれた。明治に入ると民間に払い下げられることになったが、大部分は買い手がつかなかった。「お殿様の城を庶民が買うのは恐れ多い」と敬遠されたともいわれる。

 国の所有のまま次第に荒れてきたため、1874年に住民が政府に城の無償譲渡を請願し、当時福山を管轄した小田県が公園として管理することになった。この後、福山町(後の福山市)に移管された。城内には桜が植えられ、住民憩いの場となった。

 しかし、1945年8月8日、悲劇が訪れた。米軍の福山大空襲によって天守を始め多くの建物が焼失。住民の落胆は大きかった。

戦後 寄付で再建

 荒廃した城の状況が変わったのは60年代。当時の徳永豊・福山市長が66年の市政50周年を見据え、天守と月見櫓、御湯殿の復元を表明した。総事業費約1億9000万円のうち約1億6000万円は市民の寄付でまかなった。

 各施設は明治期の古写真を基に外観を復元することになった。天守の工事は65年に始まり、1年余りという短期間で完成。鉄筋コンクリート造りの7階建てで、内部は博物館となった。

 65年に福山市に入庁した村田修二さん(74)(福山市蔵王町)は技師として現地の測量や天守の構造図面の作製を担当。着工後は現場の監理業務を任された。

 「福山城の構造に関する資料はほとんどなく、古写真を虫眼鏡でつぶさに観察して形状を確かめ、図面を作った」。工事は毎日早朝から深夜まで続いた。「誰も文句を言わず、同じ目標に向かって一丸となった。福山城が市民に戦後復興という希望の光を与えてくれた」と目を細めた。

 再建から半世紀余り。足場で覆われた天守は、その巨大さをひときわ目立たせている。内部に壁を増設するなどして耐震化し、外壁を塗り直す。市民の前に新たな姿を見せるのは2022年3月になる。

◆福山城にまつわる主な出来事

1619年 水野勝成が初代藩主となる

  22年 福山城が完成し、城下町の整備も進む

  98年 跡継ぎがおらず、福山藩水野家が断絶

1710年 阿部正邦が福山藩主となる

1845年 福山藩主の阿部正弘が老中首座となる

  73年 福山城が民間に払い下げとなる

  96年 福山城公園が当時の福山町に移管される

1945年 米軍の空襲で天守などが焼失

  66年 市民の寄付で天守と御湯殿、月見櫓を再建

2020年 天守など4施設の耐震改修工事始まる

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1838970 0 New門 2021/02/13 05:00:00 2021/02/13 05:00:00 「令和の大普請」による大改修が始まった福山城天守=2020年10月撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210212-OYTAI50027-T.jpg?type=thumbnail

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