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一時保護のあり方は? 識者に聞く

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 5回にわたって掲載した連載「一時保護を考える」では、児童虐待が増加の一途をたどる中、児童相談所に負担が集中し、保護者との対立に疲弊している現状を紹介した。解決策はあるのか、専門家3氏に聞いた。

 ◇ 児相の人材育成が急務

宮島清・日本社会事業大教授
宮島清・日本社会事業大教授

 元児童相談所職員

 宮島清・日本社会事業大教授

 過去の虐待死事件を受け、児相に「躊躇ちゅうちょない一時保護」が浸透した。子どもを守るために重要で、救われた命もあるが、一時保護を重視するあまり、肝心の家庭支援の部分が軽視されているのではないか。

 児相で虐待に対応する児童福祉司には、虐待の有無を調査する力に加え、親子が抱える問題の解決を助ける力が求められる。

 一時保護の必要性を十分に説明し、虐待が事実でも保護者の言い分に耳を傾け、なぜ起きたのかを一緒に考える。他の機関との調整力も欠かせない。

 しかし、現状は児童福祉司の半数が勤務年数3年未満。緊急対応に追われ、マニュアルを重視した硬直的な運用が行われ、保護者との対立が頻発している。

 児相の体制強化と、人材育成システムの構築が急務で、そのためには十分な財政措置が必要だ。

 一時保護への司法の関与を拡充させることには賛成だ。保護者の同意がない場合、保護後すみやかに裁判所が妥当性を審査することで、不要な保護や長期化を防ぐことができる。(聞き手・増田尚浩)

 ◇ 介入機能の切り離しを

川松亮・明星大常勤教授
川松亮・明星大常勤教授

 元厚生労働省児童福祉専門官

 川松亮・明星大常勤教授

 児相の現場は、子どもを家庭から離しながら、保護者を支援しなくてはならない矛盾に苦しんでいる。

 国は2019年の児童虐待防止法改正で、一時保護などの「介入」と保護者の「支援」を担当する職員を分けるよう自治体に求めた。しかし、実際に分けた児相では、介入の部署に業務負担が集中し、支援の部署に引き継げないことも起きている。人員不足で部署を分けられない児相もある。

 児相内で担当を分けるのではなく、介入機能を切り離し、新しい機関を設置することを考えるべきだ。

 また、児相の負担を軽減するため、04年の児童福祉法改正で、市町村の福祉部門なども虐待に関する相談対応を担うようになったが、連携がうまくいっていると言えない。

 児相と市町村の役割分担を明確化することが必要だ。その上で、ワンストップで虐待に関する相談や通告を受ける機関を設ける。内容の緊急度などに応じて、介入するべきものと、支援で対応するものに振り分けることで、より効果的な虐待対応ができるはずだ。(聞き手・虎走亮介)

 ◇ 海外 予防的支援にかじ

子どもの虹情報研修センターの増沢高・研究部長
子どもの虹情報研修センターの増沢高・研究部長

 子どもの虹情報研修センター増沢高・研究部長

 日本で虐待対応が本格化したのは1990年代からだが、米国や英国では60~70年代に社会問題化し、対策も日本より進んでいる。

 一時保護の仕組みは各国で異なり、英国では裁判所に申し立て、命令に基づき15日間まで保護する。米国も裁判所の許可が必要だ。

 米英でも以前は、子どもの保護に力を入れていた。しかし、2000年代以降、精神疾患や依存症などのリスクを抱える家庭を早期から支え、未然に虐待を防ぐ「予防的支援」にかじを切っている。深刻化してからの介入では、保護者と対立し、改善が難しいためだ。予防的支援の導入で、英国の一部自治体では、保護者と離れて暮らす子どもが減ったという効果が出ている。

 こうした支援が可能なのは手厚い体制があるからだ。児相にあたる機関は、米英が人口10万~30万人に1か所なのに対し、日本では1か所で100万人以上をカバーしているところもある。脆弱ぜいじゃくな体制の是正は急務だ。

 虐待対応は警察や学校など複数の機関との連携が欠かせないが、日本ではまだ児相に任せておけばいいとの意識が強い。まずは、この意識を変えることが必要だ。(聞き手・増田尚浩)

 ◇

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1826459 0 一時保護を考える 2021/02/08 05:00:00 2021/02/08 05:00:00 宮島清・日本社会事業大教授 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210207-OYTAI50010-T.jpg?type=thumbnail

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